水瀬
4 件の小説タヒ
死とは何だ。 昨日、父が死んだ。大好きな父だった。母と喧嘩をしても、僕の味方でいてくれた。 僕にどれだけ優しくしてくれても、どれだけ僕のことを思ってくれていても、父が僕のことをおいていってしまった事実は変わらない。 僕は父が嫌いだ。こんな早くに死んでしまったのだから。 いまだに実感がない。 死ぬというのがどういうことなのか。 体験してみようと思う。 父を追って。大好きな父を。 死ぬということがどういうことなのかを知るために、死んだ父を追って。 僕はビルの屋上にいた。
感情
僕はいつもいつも怯えてた。 でも、なにに怯えていたのかはわからない。 自分でも、何を考えているのか。 何を思っているのかわからない。 毎日のように僕に八つ当たりしてくるクラスメイト。 会社での文句を言いながら八つ当たりしてくる父親。 そんな父親の愚痴を言いながら八つ当たりしてくる母親。 皆、僕をストレス発散器だとでも思っているのか。 初めは嫌だった八つ当たりが、最近では何も思わなくなった。 感情が消えた。 何処かに置いてきたのだろうか。 僕はいつから感情がなくなったのだろうか。 そんなことも覚えていない。 僕はある日また、急に何かに怯えるようになったのだと言う。 僕は何に怯えていたのだろうか。 わからない。 ただ、今まで僕に八つ当たりしてきた奴ら皆のことが嫌い。 という感情が今ある事はわかる。 感情が帰ってきた。 ある日僕はキッチンに立っていた。 気付くともう、母親と父親は居なくなっていた。 八つ当たりしてきたクラスメイトも。 僕が嫌いになった人皆。 僕の前から消えていた。 あの時の僕の感情のように。
失敗
私は小学生の頃虐められていた。 外から見たら仲のいいグループだった。 でも中では私1人がハブられていた。 遊びに行くのも私抜き。 好きなアイドルの話をしてても私の話すことは無視。 目立たない暴力もあった。 私は卒業式の数日前、暴力を振るってきてた子に思い切って話した。 それでもやめなかった。 不登校にはならなかった。 ずっとずっと我慢してた。 中学は受験した。 新しい友達ができた。 今度は上手くやろうと思った。 でも、また失敗した。 その友達とは他人になった。 2年になり、また新しい友達を作った。 7人グループだった。 一年の時から仲良くしてた子と2年になってできた友達とのグループだ。 なのに、グループの中の2人が1人を嫌いと言い始めた。 話し合いもした。 嫌われたその子はグループから抜けた。 私はその子も一緒に仲良くしたかった。 でも話しかけられなかった。 またグループの1人がグループ皆を嫌いと言い始め、グループから抜けた。 今では5人グループだ。 ただ、初めに1人を嫌いと言っていた子達はまた誰か1人は嫌いになった見たいだ。 そして私もグループの1人の子が嫌いになっている。 また失敗するのかな。 私は怖くなった。 何も出来なくなった。 私はまた失敗した
愛されたかった少年
いつもいじめられていた。 親にも見捨てられていた。 誰にも愛されなかった。 なんでだろうって沢山考えた。 誰かに愛されたかった。 誰かを愛したかった。 楽しくて、充実した日々を過ごしたかった。 僕は小さい頃から夢があった。 鳥になりたい。 鳥のように自由になりたい。 自分を自由から離していく人たちから離れたい。 小学生の時、授業で将来の夢を発表した時、そう言った。 皆笑った。 先生も笑った。 (何その夢~笑) (もっとちゃんとした夢を書きなさい。皆みたいに。) そう言われた。 その日から僕は虐められた。 先生も見てみぬふりだ。 親に相談した。 その時は親が大好きだった。 なのに親は我慢しなさいばっかり。 先生にも話してくれない。 何もしてくれない。 学校を休みたいと言っても、給食費とか払ってるからだって。 いみがわからない。 虐められてるのに休んだらダメなの? 聞いても聞いても答えてくれない。 そのまま僕は育ち中学からは学校に行けなくなった。 そんな僕を見て親は呆れて遂には僕を見捨てた。 夜10時になったら部屋の前にご飯が置いてある。 朝は7時、昼は12時、僕はそれを食べまた部屋の前に置く。 部屋ではゲームをしたり気分で勉強したり。 そんな生活だ。 大人になった。 一人暮らしを始めた。 不安なんかない。 一つ言うなら、自殺をしないかくらいだ。 なんでかな。 仕事をする気にもならない。 親の脛齧って生きて行くのか。 そんな僕に彼女ができた。 可愛くて、こんな僕にも優しくしてくれた。 僕は顔は良いらしい。 顔面偏差値だけは高いと。 声もかっこいいとよく言われる。 小学校の時も顔と声だけは人気だった。 中身がクズだからと虐められてたのか。 はたまた嫉妬なのか。 彼女は、週に2、3度うちに来て家事全般をしてくれた。 その日だけは手作り料理だ。 僕は久しぶりに人を好きになった。 ある日、久々に家を出た。 コンビニに向かった。 すると彼女が別の男と手を繋いで歩いてるのを見た。 凄くムカついた。 でも、僕は冷静だった。 次の日彼女が家に来た。 僕の手はいつのまにか真っ赤に染まっていた。