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よろしくお願いします! 文ストの敦推しです(少ないですがQ敦が好きです) かなり長文を書いたりします 連載シリーズ:夏物語 喧嘩道シリーズ 夢花火と僕ら

夢花火と僕ら 第10章

第10章 鋼鉄の花 フィクサーと離れて175階層−−− 夢夏「…………流石にみんな下に向かってるね」 明日葉「そりゃ静かな夜に爆発音鳴ったらそうなるわ。浪岡も陽動が上手くいってるみたい!」 真守「……このまま順調に………行きたいね」 夢夏「息上がってるよ、本当に大丈夫?」 真守「………う……ん。やっと……辿り着いたからね………」 夢夏「え? どういう意味?」 真守「そこ………コントロールセンター……!」 明日葉「あ、本当だ! みんな行ったのか誰もいないし……」 真守「ふぅ…………僕はここでタワーの再起動をしてみる! だから2人は200階に!」 夢夏「うん、任せて! 何としてもミーティアを助けるから!」 真守「…………良し、じゃあやるか」 ガシャン! 真守「これでバリケードはできたから入ってこれないはず! さて……どうなってるか」 明日葉「………ハァハァ……あと何階?」 夢夏「………あと……7階くらい。思ったより体力あるじゃん……」 明日葉「舐めんじゃないわよ……これでも元陸上よ」 夢夏「それは初耳だね……」 明日葉「…………夢夏、初めはアンタのことイケすかないやつって思ってた」 夢夏「え? いきなり喧嘩売られてる?」 明日葉「違うわよ………でも一緒に過ごして優しくて度胸のあるカッコいいやつって分かったの」 夢夏「……………」 明日葉「だからその………ごめんね」 夢夏「…………明日は槍、いや、隕石が降るのかな」 明日葉「やっぱその茶化すところは嫌いだわ」 夢夏「ごめんごめん………これでも照れてるんだよ。ありがとう、明日葉」 明日葉「……えぇ、なら最後までやり切りましょ!」 夢夏「うん………! 着いたね、遂に……」 明日葉「200階………ここにミーティアが」 夢夏「とりあえず探そうか……って言う必要ないよね」 明日葉「えぇ、あからさまに厳重な扉があるし」 夢夏「じゃあ行くか……よいしょっと!」 明日葉「開けー!」 ギギギギ…… 夢夏「お、開いた!」 明日葉「あ、ミーティア‼︎」 夢夏「本当だ! おーい、ミーティア! 来たよー!」 ミーティア「……………」 夢夏「な、何で反応しないの……? 寝てるわけでもないのに……」 明日葉「………もしかして、ミーティアからは見えてないし聞こえてないんじゃない⁉︎」 夢夏「あ、確かに! それならこの辺りに………これかな?」 ミーティア「………え? 明日葉に……夢夏⁉︎」 夢夏「助けに来たよ! ミーティア!」 ミーティア「夢夏………!」 夢夏「凄い泣いてる……今助けてあげるよ!」 ミーティア「うん、お願い!」 明日葉「でもこれ鍵必要みたいよ。力では開かないし」 夢夏「元々正攻法で開ける気はないよ。ミーティア、怪我させたくないから窓から離れて!」 明日葉「…………あ、まさかアンタ⁉︎」 夢夏「その通り、ダイナマイト使うよ」 明日葉「全く………まぁそれしかないか。ミーティア、危ないから絶対離れててね!」 ミーティア「う、うん!」 バァン! 夢夏「………あ、割れた! ミーティア!」 ミーティア「夢夏ー!」 夢夏「ちょ、痛い痛い! いきなり飛び付かないでよ……」 明日葉「嫌そうな顔してないけどね」 ミーティア「明日葉もありがとう! 助けに来てくれて」 明日葉「そりゃね……放ってられないわよ」 夢夏「素直じゃないね………ミーティア、聞いてくれる?」 ミーティア「ん? どうしたの?」 夢夏「今助けに来たけど、助けに来なかったらずーっとこの檻に入れられてたんだよ。私たちがまた広い世界に出してあげたいけど、大人たちのせいで無理みたい………だからミーティア、私たちが家に、宇宙に帰してあげるね」 ミーティア「それって……お別れ?」 夢夏「………うん、私たちも嫌だけどやるしかないんだ」 ミーティア「………………」 明日葉「……とりあえず爆発音で人来るから逃げよ!」 夢夏「あ、そっか。ミーティア、行くよ!」 ミーティア「う、うん………」 「…………あー、あー、聞こえてるかな?」 夢夏「この声って………雲井ってやつ?」 「隕石少女とそこにいる2人組、大人しく降伏しろ! 既にお前の母親とバイク乗り、西城戸様は捕まえた。PCで作業してるやつはまだだが、あと5分もあれば捕らえられる。お前らも投降しろ!」 ミーティア「え……みんなが⁉︎」 浪岡「………クソ、タイヤをパンクさせるのは反則だろ」 涼子「乃木、貴方裏切ったの⁉︎」 乃木「すいませんね、私も出世したいもので……」 フィクサー「離しやがれ! このロボットがいなけりゃ……!」 雲井「…………正直、驚いてますよ。生身の人間が50体以上倒すとは……しかし、まだまだいます」 フィクサー「クソ………真守、後は頼んだぞ! 再起動させてくれー!」 真守「全くもう……プログラムが複雑すぎる! でもこれで何とかなってくれ!」 ガンガン! 真守「そろそろ扉も破られるか……! 良し、できた! 頼む、再起動してくれー!」 ガシャン! 「その手を止めろ!」 バァン! 真守「グハ………⁉︎」 「安心しろ、テーザー銃だから麻痺するだけだ。敵ながらここまで良くやったよ………おい、コードを書き換えて消せ!」 「ハッ!」 真守「ここまで来たんだ………やられてたまるかよ!」 根性で飛び出し、エンターキーを押す 「な、なんてことを……良くもやってくれたな……!」 真守「これで動くはず……!」 シーン 真守「え……な、なんで動かないの⁉︎」 「まぁ予想はしていた。確かに打ち上げ装置はあるが、もう何十年も昔のことだ。動くはずもない」 真守「そんな………お願い! 動いてくれ!」 浪岡「動いてくれよ! 出来ることなら何でもするから!」 涼子「お願い、動いてよ! あの子達の夢………希望なのよ!」 フィクサー「頼む、動いてくれ! 家に帰さなきゃいけねぇんだ!」 明日葉「動きなさいよ! アンタは打ち上げるために作られたんでしょ! 動いてよ!」 夢夏「お願い! ミーティアを救えない運命になんてしたくないよ! 動いて!」 ミーティア「………! お願い、動いて! 夢夏たちの夢を叶えてあげてー!」 そう言い切ってミーティアの大声の反響が完全に聞こえなくなった時、タワーどころか町中の電気が消え、ロボットたちも電源が切れたように一斉に動かなくなった 浪岡「え………ロボットたちの拘束が……解けた? なんでいきなり……?」 乃木「な……! 停電か⁉︎」 涼子「ロボットも止まってる……まさか!」 ゴゴゴゴゴ………ドガァーン! 「隊長、マズイです! 下の層の者から、制御が効かず暴走して建物も一部崩壊してると……!」 「嘘だろ………もう動かないはずだぞ! まさか………町中の電気とエネルギーを全部使って再起動したのか⁉︎」 真守「やっとツキが回ってきたね……!」 雲井「な……⁉︎ 再起動したというのか………何十年も前もガラクタが!」 フィクサー「アイツら………遂にやったか! 俺のチャンス到来ってわけだ!」 ゴッ! 雲井「グハッ! 良くもやってくれたな……この小僧が!」 フィクサー「お前お抱えの残機も無くなった。こっからはノーコン勝負だぜ!」 雲井「クソ……! 調子に乗るなよ!」 フィクサー「覚えとけ、俺の名はフィクサー! 黒幕で全てを奪う者だ!」 雲井「何がフィクサーだ………(……なぜだ、なぜこんな子供に足が震える……⁉︎ 恐怖しているというのか⁉︎)」 フィクサー「行くぜ、最終ラウンドだ!」 第10章 鋼鉄の花 続く

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夢花火と僕ら 第10章

夢花火と僕ら 第9章

第9章 決戦の時 涼子「………良い? じゃあ決行は明日の夜6時。それまでに準備と覚悟しといてね。危ないことだから来たくない人はその気持ちを優先してね」 海−−− 浪岡「………ふぅ、ついたよ」 明日葉「ありがとね……はぁー、懐かしい」 浪岡「初デートもこうしてバイク乗ってこの海に来たもんね」 明日葉「まさかこうなるとはね………普通のカップルが宇宙人と出会って、町そのものに喧嘩売るって………」 浪岡「ハハ、本当にね………でも意外と心は晴れ晴れしてるよ」 明日葉「そうね……もう無いかもしれない、一世一代の大勝負………面白いと思わない?」 浪岡「その通りだね。じゃあお願いするよ、明日葉も……俺のバイクも!」 明日葉「うん、お願い! 私たちを無事に運んでね」 工事現場−−− フィクサー「………おーい、監督さん! いるかー?」 「あ、お坊ちゃん! こんな場所にどうしたんですか?」 フィクサー「いや、ちょっと伝言をな。ウチの親父がなんか次の依頼のことで話あるみたいだぞ」 「え、本当ですか⁉︎ おいお前ら、俺は行くが働いとけよー!」 フィクサー「…………行ったか」 そして工事現場の倉庫に入り、爆弾物管理エリアに着く フィクサー「………爆発は演技の基本ってとこかな。ダメなことだが、ルール破らねぇと勝てない相手もいるもんだ」 パソコン部−−− 真守「……………」 信也「……グッ、この……!」 モッくん「信也、2人で行くぞ!」 信也「おう、後ろから行け!」 真守「………残念、僕の勝ちだよ」 K.O! モッくん「うわー、カウンターで決められた!」 信也「やっぱ部長は強いな。勝てねぇわー」 真守「やり込めば2人も勝てるよ………さて、そろそろ行くよ」 信也「…………」 モッくん「…………」 真守「え? 2人とも、黙ってどうしたの?」 信也「いや………なんか部長がカッコよく見えてよ」 モッくん「あぁ、だけど………死にに行くようにも見えた」 真守「そ、そんな事ないって。失礼なこった……」 信也「……部長、いや真守! なんかあったら相談乗るからな!」 モッくん「俺らはここでゲームして待ってるぞ!」 真守「2人とも………うん、行ってきます!」 「「行ってらっしゃい!」」 裏山−−− 夢夏「…………今日は調査してないか……ミーティア覚えてる? ここは私たちが初めて出会った場所だよ。まぁ初めは服着てなくて驚いたけど………でもそこからは楽しかったね。一緒にご飯作って食べて、お風呂入って毎晩読み聞かせ………私にとっては宇宙人なんかじゃない。元気があってわがままな、ただの可愛い女の子だ」 ミーティアが作ったクレーターに花束を置く 夢夏「待っててねミーティア、いなくなるのは悲しいけど………絶対家に帰してあげる!」 夜6時 決行の時−−− ブロロロロ…… 「ん? はーい、止まってください」 涼子「………警備さん、お疲れ様です」 「あれ、涼子さん? こんな時間に珍しい……どうかしましたか?」 涼子「えぇ、少し忘れ物をしてしまって」 「そうですか、なら今開けます」 涼子「ありがとうございます………あ、あと吉田さんが呼んでましたよ」 「え、本当ですか? 全く………警備室遠いんだよ」 涼子「フフ、お疲れ様です」 「えぇ、じゃあちょっと行ってきます!」 涼子「……………みんな、顔上げていいわよ」 フィクサー「ふぅ、息止めるの疲れたぜ」 明日葉「てか、車の中まで確認しないのザルすぎない?」 涼子「私結構信用あるのよ………良し、着いたわ」 真守「……ここから200階か」 夢夏「みんな、武器と覚悟は持った⁉︎」 フィクサー「おう! じゃなきゃここまで来ないぜ!」 浪岡「陽動は俺らに任してくれ! バイクで走り回ってやる!」 涼子「じゃあ私はここでお別れね。私にできるのは100階までエレベーターを繋げることと監視カメラの無効化だけよ」 夢夏「そこまでやってくれたら十分だよ。さぁみんな、行くよ!」 涼子「………頑張ってね、勇者たち!」 エレベーター内−−− 夢夏「…………じゃあ最後の作戦会議するよ。私とフィクサー、明日葉は250階に直接向かって浪岡は100層の辺りでバイクで走り回って陽動する。真守は途中にあるコンピュータルームで打ち上げ装置の再起動手伝いをする………これで大丈夫?」 明日葉「異論なし。ただ、浪岡は危険な役割だから気をつけてね」 浪岡「うん、久々に本気出してやる!」 フィクサー「夢夏、先に渡しとくもんがある」 夢夏「何だろ……危ないやつ?」 フィクサー「おう、ダイナマイトだ」 明日葉「マジで危ないやつじゃない⁉︎ え、恨みでもあるの?」 フィクサー「そうじゃねぇって! もしもがあった時のために工事現場からパクってきたんだ」 明日葉「アンタが一番危険だわ………3本か」 フィクサー「これ以上は持ってくるのは無理だったな。でも脅しとしても使えるぞ!」 夢夏「確かに………じゃあ1本持っとこ」 明日葉「私はやめとくわ」 真守「みんな、そろそろ100階につくよ!」 浪岡「いきなり敵がいるかもしれない! 気をつけて!」 フィクサー「言われなくても……!」 真守「開くよ!」 チーン 夢夏「……………良し、とりあえずいないみたい」 明日葉「まぁここで待ち構えられたらダイナマイト使うしかないわね」 真守「じゃあ僕たちは階段で行くから、ちょっと時間経ったら陽動お願い!」 浪岡「おう! 死ぬんじゃねぇぞ!」 「………………異常なし、異常なし」 真守「………良し、行こう!」 フィクサー「流石に監視ロボもいるか……」 明日葉「でも何とか非常階段についたわね、後は登るだけ!」 真守「いや、そうはいかないらしい」 明日葉「えー、ここまで来て新情報?」 真守「実はこの非常階段は150階までらしい……だから200階に行くには、別館の非常階段を使うしかないってわけ」 夢夏「別館って………あの学校からも見えるデッカい渡り廊下の先にある?」 真守「うん………だからバレる確率は……」 フィクサー「それで良いじゃねぇか。どうせミーティア助けるならバレるのは時間の問題だ」 夢夏「……うん、そうだね! 堂々と渡ってやろうよ!」 明日葉「相変わらず度胸だけは一人前ね………じゃあ行きましょうか!」 150階層−−− 真守「………ゼェ……ハァ……も、もう無理……」 フィクサー「弱音吐くなよ。もっとやれるって!」 夢夏「真守も運動とかしたら?」 真守「僕は……パソコン部……」 明日葉「………しかし変ね。渡り廊下に何もない、ロボすらいないわ」 フィクサー「罠って分かりやすすぎるぜ」 夢夏「でも行くしかないもんねー」 真守「……ど、堂々と渡ってやろうか………」 明日葉「あんま無理すんなよー」 フィクサー「お、見ろよ。俺らの学校とかミーティアが作ったクレーターも見えるぞ」 夢夏「本当だー、結構良い景色だね」 真ん中に来た時、後ろと前から光が照らされた 明日葉「眩し! 流石にバレたわね………」 フィクサー「後ろも前もロボばっか……塞がれたな」 ?「良くここまできたな………」 夢夏「あ、アンタは……! 名前知らないけどうざい奴!」 雲井「雲井だ。まさか、西城戸様まで来るとは………どうやって来たか知らないが、とりあえず捕まえろ」 真守「マズイ、迫って来てるよ……!」 フィクサー「…………おい、みんな。走る準備しとけ」 明日葉「え………ま、まさか……」 フィクサー「その通りだ! 走れ、お前らー!」 バァン! フィクサーが投げたダイナマイトは爆発し、壁にヒビが入りロボ達は壊れた 真守「フィクサー、お前はどうすんだ!」 フィクサー「走れー! 俺はここで食い止める!」 夢夏「……フィクサー……絶対戻って来てね!」 フィクサー「おう、このフィクサー様に任せとけ!」 雲井「…………まさか、ダイナマイトを持っているとは……修繕費いくら掛かるか知ってますか⁉︎」 フィクサー「さぁな、親父にツケといてくれ」 雲井「……良いでしょう、まだロボは数百体います。残機数百ある者に残機1が挑む……勝てると思いますか?」 フィクサー「そっちの方が面白いわ………行くぞ! こっから先は立ち入り禁止だ!」 第9章 決戦の時 続く

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夢花火と僕ら 第9章

夢花火と僕ら 第8章

第8章 沈まぬ夢 月華タワー、ある一室−−− 夢夏「……………」 ガチャ 雲井「お待たせしましたね。お茶飲んでくれて結構ですよ」 夢夏「…………ミーティアはどこ」 雲井「大丈夫、危害は加えてませんよ。ミーティア………隕石、か。良い名前ですね」 夢夏「………………」 雲井「………分かりました、本題に入りましょう。数週間前、貴方たちが通っている高校の近くに大きなクレーターができましたね」 夢夏「……………」 雲井「そこを調べると例の少女の痕跡が見つかった………本物の宇宙外生命体ってわけだ」 夢夏「………何が言いたいの?」 雲井「そうでしたね、そんな大きなクレーターを作るほどエネルギーがある子を野放しにはできません………月華で保護させていただきます」 夢夏「……まぁ予想はしてたよ。でも簡単に、はいそうですか、って言うと思う?」 雲井「いえ、私もそこまで舐めてません。そうですね………100万と月に1回の少女と会う権利、そして少女の安全を保障します。彼女で実験したり命の危機に晒したりはせず、観察対象として保護するのみです。まぁ外に出すのは危険があるので無理ですが」 夢夏「…………ミーティアの意思はどうなるの?」 雲井「……残念ながら。そしてこれも取引ではなく強制だ………覚えとけ、大人とは汚いものだぞ」 夢夏「…………クズが……!」 雲井「言われても仕方ない………だが、あの少女を返す気はない。帰ったらどうだ、家で母親も待っている」 夢夏「! お母さんが………」 雲井「…………おい、お帰りだ。車で送っていってやれ。あと残りの4人もな」 夢夏「ちょっと待って! 皆もいたの⁉︎」 雲井「あぁ、説明は必要だろう………仲間の1人が会長のご子息で良かったな。そうでなければこんな好待遇ではなかった」 夢夏「………いつか痛い目見るよ、絶対」 雲井「ハッ…………丁重に家に帰せよ」 夢夏宅−−− 夢夏「…………ただいまー……お母さん、いるの?」 シーン 夢夏「………お母さーん……」 ガチャ 夢夏「あ、お母さん………いたんだね」 涼子「…………アッハハハハ!」 夢夏「お、お母さん⁉︎」 涼子「夢夏ー、アンタも酒飲む? 美味いぞー!」 夢夏「ど、どうしちゃったの………?」 涼子「どうもこうも………地球に来る危機を検知する人工衛星プロジェクトしてたんだけどあの隕石少女には反応しなくて大騒ぎ………降格って言われたけどほぼクビだわ」 夢夏「……………そ、そうなんだ」 涼子「それで話を聞いたらアンタがあの隕石宇宙人をこの家に住まわしてたんだってね! 人生を狂わしたやつを、この家に!」 夢夏「ヒッ……!」 涼子「………ごめん、部屋戻ってて。これ以上顔見たら………我慢できない」 夢夏「……………うん」 涼子「………………」 夢夏の部屋−−− 夢夏「……………」 ピロン 夢夏「………(スマホを手に取る)」 真守「皆大丈夫だった?」 明日葉「んな訳ないでしょ! 気分最悪だわ!」 浪岡「本当に………質問攻めだったよ」 真守「僕も念の為って大事なPC取られたし……」 明日葉「…………ねぇ、夢夏は大丈…」 夢夏はスマホをベットに投げた 夢夏「……………」 「夢夏様、目覚ましは7時半で宜しかったですか?」 夢夏「…………うるさい、何も言わないで」 「ですが寝坊してしまい…」 夢夏「うるさい! 静かにしてよ………」 「……電源を落とします」 夢夏「……………ミーティア……ここにさえ来なければ……‼︎」 遥か遠い未来、1人の少女と4人の勇者が現れる。勇者たちは少女の夢を叶えようとするが、途中で夢破れてしまった。勇者たちの砕け散った夢や希望は地に埋まる………これはそんなお話。運命は変えられず、ただその通りに進むだけ あぁ、哀れな少女たちよ end 夢夏「……………え?」 気がつくと夢夏の周りには大量のシャボン玉らしきものがあった 夢夏「なんだこれ………」 パァン! 夢夏「わ! って小さい私と……真守⁉︎」 シャボン玉を割ると目の前に小さい時に遊んだ光景が広がった 夢夏「これは……秘密基地を作るって決めた時……」 パァン 夢夏「………こっちは初めてクラスの皆で合唱する時」 パァンパァン 夢夏「………懐かしい。お母さんに誕生日プレゼント貰う時だ。何があるんだろ、って楽しみだったな。これ全部、私の夢だ……」 ガチャ! 涼子「夢夏! 何の破裂…何これ! シャボン………玉?」 夢夏「お母さん……ねぇ、これ割ってみて」 涼子「え、い、いきなり何よ……」 パァン 涼子「………何ともないけど…⁉︎」 涼子の目には夢夏が産まれる前の光景が目に入った 涼子「………こ、これって…」 夢夏「…………どんどん行くね」 夢夏が涼子にシャボン玉を渡して割ると、夢夏が産まれた時、小学校に入った時、初めてプレゼントをくれた時……どんどん光景が目の前に広がった 涼子「………………」 夢夏「………これを割ると、割った人の夢が見えるみたい……ミーティアのお陰かな」 涼子「……夢夏、ごめん……ごめんなさい」 夢夏「お母さん……大丈夫だよ」 涼子「私………夢夏は何も悪くないのに八つ当たりして……母親失格だわ」 夢夏「そんな事ないよ。だって昔からずっと私の成長を夢って思ってくれてたんでしょ……ほら、涙拭いてよ。シワ増えちゃうよ」 涼子「フフ、生意気ね…………ねぇ、あの子、助けたいの?」 夢夏「うん、絶対助けたい。まだ別れの言葉も言えてないんだよ」 涼子「………よーし! 夢夏、皆んな集めて!」 夢夏「え? 皆んなって?」 涼子「あの子を助けたいって思ってる子のこと!」 夢夏「お、お母さん!」 涼子「さぁ、面白くなってきたわよ!」 夢夏「……うん! 凄くね!」 数十分後−−− 明日葉「………夢夏! 大丈夫だった⁉︎」 夢夏「明日葉………うん、大丈夫だよ。明日葉も顔洗ってきたら? 泣き跡凄いよ」 明日葉「………心配して損したわ。恥かいたし」 夢夏「アハハ! でも心配してくれてありがとうね……この言葉は本当だよ」 明日葉「…………あっそ」 真守「…………何だそのバッグ、バットにメリケンサック、ついでに演劇で使うレイピアって……」 フィクサー「お前もだぞ………はんだごてに傘、浪岡はスパナと大量のガソリンにライターか……」 浪岡「結局、みんな考えることは一緒だな」 涼子「おーい、集まれー!」 真守「はい! それでどんな作戦で?」 涼子「まずはこれを見て」 明日葉「これは………あの月華タワーの地図?」 涼子「えぇ、250階あってさっき居たのは多分この100階層の辺り。それでミーティアがいるのは………ここのはず」 浪岡「200階か………監視カメラもあるしエレベーター使えないのがキツイな」 涼子「いや、何とかプログラムを書き換えて100階までは動かせるわ。ただその後は自力ね」 真守「100階分は自力か………」 フィクサー「安心しろよ! 俺らは勇者だぞ!」 明日葉「それは言い伝えでしょ」 フィクサー「でもこの状況は勇者だろ…… 向かうは250の摩天楼、囚われの姫を救うため、6の勇者が立ち上がる……どうだ?」 夢夏「良いね、更にやる気が出てきたよ」 涼子「私は入れなくて良いわよ……」 真守「………でももし助けたとしてもどうします? 助けたら流石にバレるし、隠し通すのは難しそうだし」 涼子「そうね………だから家に帰すわ」 明日葉「帰すって………宇宙に? 打ち上げ装置でも無ければ無理ですよ」 涼子「それならあるわ」 浪岡「え、あるの⁉︎」 涼子「うん、実は月華タワーは昔あったロケット打ち上げ装置を軸にして改造して作った建物よ。だから再起動できれば私たちの勝ちよ!」 真守「再起動………かなり難しそうだ」 夢夏「でも出来なきゃミーティアは助けれないね」 フィクサー「よっしゃあ! ならやってやろうぜ! ミーティア帰還作戦、決行だー!」 「「「「おー‼︎」」」」 涼子「…………子供の成長って本当に早いわね」 ミーティア「…………お願い、夢夏、助けて……!」 第8章 沈まぬ夢 続く

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夢花火と僕ら 第8章

夢花火と僕ら 第7章

第7章 運命の時 ミーティア「………ねぇー、夢夏まだー⁉︎」 夢夏「ちょっと待ってね………良し、出来た」 ミーティア「わー! 可愛い髪飾り!」 夢夏「でしょ? 私の宝物なの」 ミーティア「へー、良いなー!」 夢夏「ミーティアにもそういう宝物できるよ。さて、遅刻する前に行こうか!」 ミーティア「うん! 遊園地にレッツゴー!」 遊園地、入り口前−−− 真守「………まだ俺ら2人だけか」 フィクサー「おうよ、まぁ集合時間より中々早いしな」 真守「確かにね………しかし、思ったより人いないような……」 フィクサー「そりゃそうだ。クソ暑いし普通に来たら数万はかかるからな、マジでミーティア様々だ」 真守「まさか、団体チケットが当たるとは………そういや、ミーティアに名前呼んでもらえた?」 フィクサー「分かってるだろ、惜しいところまで行くんだがな………でも諦めはしねぇぞ!」 真守「やっぱ根性が凄いな……あ、来た!」 浪岡「お、もう集まってたのか!」 フィクサー「おう! お前らはバイクだったか?」 明日葉「うん、まぁちょっと渋滞してたけどね」 真守「じゃあ後は2人だけか」 フィクサー「でも遊園地なんていつ振りだろうなー」 浪岡「俺と明日葉は1ヶ月くらい前に行ったな」 明日葉「うん、遊園地デート楽しかったね!」 フィクサー「ケッ、惚気かよ……真守はどうだ?」 真守「多分4、5年振りくらいかな」 フィクサー「おぉ、かなりだな! まぁ俺も同じくらいだがよ」 夢夏「……おーい! お待たせー!」 真守「あ、来た! 全然待ってないから大丈夫だよ」 ミーティア「わー……! 大きいね、夢夏!」 夢夏「うん、遊園地なんて久々だね………じゃあ全員揃ったし入ろっか!」 フィクサー「おう! でもどうする? 全員で回るか、ペアで回るか決めとこうぜ」 浪岡「………折角だしジャンケンで決めない?」 明日葉「それ良いわね。まぁフィクサーと回るのはちょっと勘弁だけど」 フィクサー「オーノー! 悲しいぜー!」 ミーティア「じゃあ行くよー! じゃーんけーん!」 夢夏「………えーっと、じゃあ私と真守、フィクサーとミーティア、浪岡と明日葉だね」 ミーティア「よろしくね、ミキサー!」 フィクサー「それもう誰だよ!」 明日葉「結局、一緒になったね」 浪岡「うん、じゃあ今度は絶叫系行く?」 明日葉「絶叫系………良いわね! 行こっ!」 夢夏「何やかんや2人きりは久々だね」 真守「そ、そうだね………あ、最初どこ行く⁉︎」 夢夏「うーん………あの落ちるやつとか?」 真守「い、良いね! じゃあとりあえず時間になったらここで!」 明日葉「………ヒッ! や、やっぱ苦手かも……」 浪岡「だ、大丈夫? お化け屋敷入ったの間違いだったね……」 明日葉「行けると思ったんだけど無理かも……」 ガシャーン! 明日葉「ヒャー! 浪岡、助けてー!」 浪岡「と、とりあえず早く出よう! あとそんな強く掴まれたら痛い……!」 ミーティア「わー、凄い! お馬さんたちが動いてるよ!」 フィクサー「メリーゴーランドってやつだ! 久々に乗ったが良いもんだ!」 ミーティア「へー、メリーゴーランドって言うんだね!」 フィクサー「あぁ! でもお前も一緒にいると不審な目で見られるから正直通報されないか怖いぞ!」 ミーティア「通報は夢夏に聞いたことあるよ! 怪しい人にすることだって!」 フィクサー「お、賢いな。良いか、怪しい人ってのは180くらいのガタイの男がメリーゴーランドに乗って大声出してることだ」 ミーティア「へー、博識!」 夢夏「…………つ、次ご飯でも食べる?」 真守「あ、それ良いね……!(ちょっと気まづい……)」 夢夏「……………そういえば、いつからだっけな。こうなったの」 真守「え? どういう事?」 夢夏「昔はだって一緒にたくさん遊んでたじゃん、秘密基地とか作ったり宇宙と交信してみる遊びしたり……」 真守「あぁ、懐かしいね………もしかしたらそれのお陰でミーティアが来たのかもな」 夢夏「アハハ! そうだったら良いなー」 真守「………でも会わなくなった理由は時間かな」 夢夏「……大体、中学くらいだっけね。でもまたこうして遊べて良かった」 真守「うん、本当にミーティアに感謝しなきゃな」 夢夏「そうだね………ねぇ、もし本当にミーティアが夢花火だったらどうする?」 真守「………考えたくはないけど、そうだったら何としても助けるよ。涙を見るのは嫌いなんだ」 夢夏「…………ヒュー、カッコいいね。真守」 真守「そんな事ないって! ただ、臆病なだけだって………」 夢夏「自虐的なのは変わらないなー………まぁ良いや、今日はまた思い切り遊びまくろ!」 真守「…………うん、そうだね!」 夢夏「それじゃ行くよー! まずはジェットコースター!」 真守「え、いきなり⁉︎」 観覧車−−− 夢夏「……うーん、疲れたけど楽しかったね!」 真守「激しいのばっかで腰が震えたよ………でも時間的にこの観覧車で最後かな」 夢夏「うん………わー、景色も良く見えるね」 真守「本当だ、高校も見えるよ!」 夢夏「………真守はこの町のこと、どう思う?」 真守「この町って……月華のこと?」 夢夏「うん、私はね嫌いではないけどもっと色々見てみたいんだ。こんな機械に縛られた町じゃなくて大きな海とかね」 真守「………応援しますよ、その最高の夢」 夢夏「ありがたいね………でもその時、真守が着いてきてくれたらなー」 真守「照れますよ、そんな心強くありません」 夢夏「いやー、1人いるだけでも違うよ。しかもそれが親友なら尚更だって」 真守「…………夢夏さん、伝えたい事があります」 夢夏「………うん、しっかり聞くよ」 真守「夢夏さん、僕は……あれ? ミーティア?」 夢夏「え?」 後ろを向くと後ろのゴンドラにミーティア達4人が乗っていた フィクサー「あー、折角良いところ見れると思ったのに!」 浪岡「まさか、寸前まで行くとは………」 明日葉「まぁシュチュエーションとしては最高ね」 ミーティア「顔真っ赤っかだー!」 夢夏「……………やめとっこか」 真守「……………うん」 夢夏宅−−− ミーティア「………夢夏、なんでピーマンばっかなの」 夢夏「好き嫌いしちゃダメだよー、しっかり食べな」 ミーティア「……夢夏、私怨はダメだよ」 夢夏「難しい言葉覚えたねー………分かった、じゃあちょっと貰うよ」 ミーティア「やったー! 夢夏、大好き!」 夢夏「はいはい…………遊園地はどうだった?」 ミーティア「楽しかった! また皆で行きたいなー」 夢夏「ミーティアの夢になったようで良かったよ」 ミーティア「………私の、夢?」 夢夏「うん、こうしたいああしたい、それが夢だよ。ミーティアも夢花火が見たいーってずっと言ってたでしょ」 ミーティア「………私の夢……! うん、大切にする!」 夢夏「また一歩成長だね」 ピーンポーン 夢夏「ん? こんな夜に誰だろ………」 ミーティア「もしかして夢夏のお母さんじゃない?」 夢夏「あ、確かに! なら早く開けてあげなきゃ!」 ガチャ 夢夏「はーい……って………誰ですか」 「涼子さんの娘さん、夢夏さんで宜しかったですか?」 夢夏「え………そうですけど」 「いきなりですが、貴方とそちらにいる宇宙人………月華タワーに連行させていただきます」 第7章 運命の時 続く

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夢花火と僕ら 第7章

夢花火と僕ら 第6章

第6章 夢花火の正体 浪岡「…………良し、スリーカードだ!」 真守「フッフッフ……こっちはフルハウスだよ!」 浪岡「な⁉︎ 負けた………!」 真守「今回は僕の勝ちで終わりかな」 夢夏「………あれ何してるの?」 明日葉「ポーカー、3対2で真守が有利」 ミーティア「ねぇ! あれやりたい!」 夢夏「やめといたら? あれは子供には早いよ」 明日葉「その点に関しては私も同意だわ………あ、連絡きた」 夢夏「お、やっと?」 明日葉「うん、えっーと………準備できたから家に来てくれ、だってさ」 夢夏「まさか、報告会をフィクサーの家でやるとはね」 真守「でもピッタリだと思うな。この会室に6人は多かったし、アイツの家広いし」 ミーティア「決着ついたの?」 真守「うん、僕の勝ち逃げだったよ」 浪岡「クソー、普段は俺の方が強いのに……」 夢夏「じゃあ行こっか、フィクサーの家!」 明日葉「…………アイツの家、どんだけ遠いの?」 ミーティア「疲れたよー、夢夏! 抱っこしてー!」 夢夏「はいはい、よいしょっと!」 ミーティア「わー、高い高い!」 浪岡「でも本当に家どこだ? こんな坂の上まで来たぞ……」 真守「うーん、一応もう着いてるけどね。もう少しだよ」 夢夏「え、じゃあフィクサーの家って………」 フィクサー「お、おーい! お疲れだろ、上がってくれ!」 明日葉「…………すっご」 フィクサーの家は洋風で巨大な宮殿屋敷で、手入れされた巨大な庭もついていた ミーティア「凄い凄い! おっきいお家だ!」 夢夏「………こんな豪邸だったんだ」 浪岡「うわ、彫刻もあるぞ………」 ?「坊ちゃん、そちらはご友人で?」 フィクサー「おう、俺の大事な友達だぜ!」 ?「そうですか。皆様こんにちは、私西城戸様のお世話係を担っている海瀬です。爺やとでも呼んでください」 ミーティア「爺や! アクサー、偉いんだね!」 フィクサー「フィクサーだ! まぁとりあえず部屋に上がれよ」 フィクサーの部屋−−− 真守「………なんか演劇服も台本もたくさんあるな。相変わらずめっちゃ広いし」 夢夏「そういえば昔からの付き合いだったね」 真守「うん、昔2回くらい来たことあってね」 フィクサー「さて、お菓子もジュースも揃ったことだし………始めるか、報告会」 ミーティア「うん、私知りたい。夢花火が何なのかを」 明日葉「じゃあまず私からね……… …………こんな言い伝えだったね」 フィクサー「1人の少女と4人の勇者……夢が破れて地に埋まって少女は洪水を起こして土地を作る………」 真守「………僕らのことだとすると、一つ引っかかるのがあるね」 浪岡「あぁ………俺ら、5人だよな?」 夢夏「うん、少女はミーティアとして……なんで4人なんだろ」 明日葉「考えられるのは協力的じゃないやつか………言い伝えとは別の人がいるとか?」 ミーティア「? 明日葉、どういうこと?」 明日葉「つまり、言い伝えの予定から外れてる………想定外の人物が混入してるって予想だわ」 真守「みんな夢花火には協力的だから………想定外の人物説がありそうだね」 浪岡「でもそうだとしたら誰だ?」 フィクサー「うーん………まぁとりあえず置いとこうぜ。次は夢夏、お願いできるか?」 夢夏「うん、私とミーティアは図書館で………… …………こんな内容だったよ」 真守「………なんだその酷い内容」 明日葉「そこは同意。ミーティアが夢の破壊者………でも本の通りなら夢花火って」 フィクサー「………ミーティア自身だな」 ミーティア「……私が夢花火なの?」 浪岡「いや、違うよ! これはデタラメだって! ほら、ページも破れてたらしいし、そっちに別のこと書かれてるって!」 真守「………でも何で破かれてるんだ?」 夢夏「それが探してみたけど見つからなかったんだよね」 フィクサー「ふむ…………まとめてみると、俺らが見つけたのは多分俺らの言い伝えで、夢夏たちが見つけたのはミーティア自身のことか」 明日葉「………分かったのは想定外のやつがこの中にいて、ミーティアが夢花火かもしれないってことね」 真守「……………」 夢夏「……………」 浪岡「…………あれだけ追ってたもんの正体が人の命か……」 明日葉「……ってあれ? ミーティアは?」 フィクサー「⁉︎ 本当だ! おーい、ミーティア!」 夢夏「………返事がない。もしかしたら外に行ったのかも!」 ガチャ 夢夏「おーい、ミーティアー!」 真守「ミーティア、どこ行ったんだー⁉︎」 フィクサー「……良し、分担しよう! 夢夏と真守は屋敷の中、明日葉たちは外の庭、俺は細かい場所を探す!」 夢夏「分かった、よろしく頼んだよ!」 夢夏「ミーティア、いないの⁉︎ ミーティアー! なんでいきなり……」 真守「………もしかしたら夢の破壊者かもしれないって言われたからじゃないかな」 夢夏「…………ミーティアは違う。むしろ私に夢をくれたんだよ!」 真守「僕もだよ………おーい、ミーティアー!」 夢夏「出てきてー!」 爺「…………どうかされましたか?」 夢夏「あ、爺やさん! ミーティア………一緒にいた小さい女の子を見ませんでした⁉︎」 爺「あぁ、それならこちらです」 「「……え?」」 海瀬の部屋−−− 夢夏「あ、ミーティア!」 真守「…………ゆっくり寝てるね」 爺「実は屋敷を掃除中、こちらのお嬢様が走ってきまして事情を聞いたら、私がいたら困らしちゃう………と言っていたので保護させていただきました」 夢夏「本当にありがとうございます! ミーティア、見つかって良かった……!」 真守「じゃあフィクサーたちに伝えてくるよ!」 夢夏「うん、お願い…………ハァ、疲れた」 爺「………お名前、何とお呼びすれば?」 夢夏「え、夢夏で良いですけど………」 爺「夢夏様……お礼申し上げます」 夢夏「ちょ、頭下げなくても!」 爺「いえ、感謝の印です………坊ちゃん、西城戸様はこの月華の会長の息子………それゆえに友達もできず会長の息子として重圧もかかっていました」 夢夏「………………」 爺「そしていつしか、フィクサーと名乗り始め演劇に没頭していきました。だから嬉しいのです、坊ちゃんに心許せる友人ができたことが」 夢夏「………任せてください。しっかり友達として守っていきます」 爺「それは心強いことです……どうかよろしくお願い申します」 ドタドタ! 夢夏「あ、皆来たかな。じゃあそろそろ帰りますね」 爺「はい、またいつでもお越し下さい。その時は歓迎しますよ」 帰り道−−− フィクサー「………いやー、今日は来てくれてありがとうな! もうすっかり夕方になっちまったな」 夢夏「良いよ、色々話して分かったしミーティアも見つかったしね」 ミーティア「………ごめんなさい」 明日葉「そんな落ち込まないでよ。私だって同じ立場なら逃げ出しちゃうし。謝れるだけ偉いわ」 フィクサー「………アイツ、子供に甘々だよな」 浪岡「分かってないな、そこが良いんだよ」 明日葉「そこ2人、後で説教ね」 フィクサー「ヤッベ! あ、そうだ……ほれ」 真守「ん? 紙切れ……?」 フィクサー「違うわ。福引券だよ、そこの商店街で布買ったら貰ったんだ」 ミーティア「福引って何?」 夢夏「あー、まぁ運が良ければ良い物が当たる的なやつだよ」 ミーティア「! 福引、やってみたい!」 フィクサー「じゃあお前にやるよ!」 真守「……………おじさん、福引1回お願い」 夢夏「ミーティア、じゃあこのハンドル回してみて」 ミーティア「うん! えーい!」 ガラガラ 浪岡「お、これは………」 フィクサー「……金色?」 「大当たりー! 遊園地グループ招待チケットです!」 夢夏「………あ、当たった⁉︎」 ミーティア「やったー♪」 第6章 夢花火の正体 続く

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夢花火と僕ら 第6章

夢花火と僕ら 5章

第5章 夢花火捜索隊 ミーンミンミンミン フィクサー「…………暑いし遠いし、こりゃ二重苦だな」 明日葉「着いたんだから文句言うなよな」 真守「でも本当にこんな場所に夢花火の手がかりがあるのか……」 夢夏「ま、可能性があるだけで充分だよ。スマホの電波もほぼ来てない田舎だから足で探すしかないけど」 ミーティア「あ、蝶々ー!」 フィクサー「…………ゆ、夢花火を聞いたってどういう事だ⁉︎」 明日葉「あれは私が月華に引っ越す前………名前は鴨山町。機械もほぼ無くて、こっから電車で3時間くらいかかるわ」 夢夏「それで夢花火はどこで聞いたの?」 明日葉「………………」 真守「……まさか?」 明日葉「悪いけどその通りよ。聞いたのは絶対だけど、どこで聞いたのかは分からないわ」 フィクサー「………どうする、夢夏?」 夢夏「うーん、情報が足りないけど手がかりもないし行ってみよっかな」 真守「まぁ情報が無いのはそうですね……」 フィクサー「良し、じゃあ日時決めて来れる奴は来るってことで!」 夢夏「…………それで来れたのは私とミーティアにフィクサー、あと明日葉か」 フィクサー「真守は墓参りで浪岡は部活動だったな」 ミーティア「ここが明日葉の昔のお家?」 明日葉「いや、ここは………まぁ帰る場所って意味では正しいか」 フィクサー「ミーティアも結構日本語上手くなってきたな」 夢夏「家でも本をずっと読み込んでるよ」 フィクサー「ミーティア、じゃあ名前言えるか?」 夢夏「うん! 夢夏に真守、明日葉にフクサー!」 フィクサー「おぉ、絶妙に上手くなってるな! あと一歩だぞ!」 明日葉「もう意地になってるじゃん……」 夢夏「とりあえず私とミーティア、フィクサーと明日葉の別行動で大丈夫?」 ミーティア「私はそれで良いよ!」 フィクサー「あぁ、異論なしだ」 明日葉「コイツと一緒はうるさそうだな」 フィクサー「な、そんな事ないぞ!」 明日葉「そういうとこだよ………」 夢夏「じゃあお互い出発!」 フィクサー「…………でもどうする? 図書館でも行くか?」 明日葉「いや、それはあっちに任せたから私たちは人よ」 フィクサー「………人?」 明日葉「えぇ、私のお婆ちゃんがこの町にいるの」 フィクサー「へー、明日葉の婆ちゃんか。どんな人かな」 明日葉「至って普通よ。まぁ昔話が好きで長寿だけどね」 フィクサー「長生きしてんのか! それはいい事じゃねぇか」 明日葉「………100超えてるよ」 フィクサー「おぉ、想像以上だぜ」 明日葉「あ、ここよ。お婆ちゃんの家」 フィクサー「ここが………良し、明日葉の婆ちゃんいませんかー‼︎」 明日葉「うるさ……インターホン押せよ」 ガチャ ?「ん? あ、明日葉! 元気にしてた⁉︎」 明日葉「うん、元気だよ。お婆ちゃんはどう?」 婆「私も何とか元気よ! ここは空気も美味しいし、機械が沢山あ るより過ごしやすいわ。それでその男子は、明日葉の彼氏か?」 明日葉「めっっっちゃ違う! コイツは友達の西城戸ってやつ」 フィクサー「明日葉、友達って………ありがとう! 我が友よ! でも西城戸じゃなくてフィクサーだぞ!」 明日葉「うっざー………」 婆「ふぃくさー? まぁとりあえず家に上がり。お茶出すよ」 フィクサー「ありがとうな、明日葉婆ちゃん!」 婆「………はい、冷たいお茶だよ」 明日葉「ありがとう、暑い体に良く効くよ」 フィクサー「そんで婆ちゃん! 本題だけどよ…………夢花火って知らないか?」 婆「………夢花火?」 フィクサー「あぁ、俺ら今それが何なのか探してて………」 婆「夢花火…………懐かしい響きだよ」 明日葉「え、知ってるの⁉︎」 婆「そりゃもちろん。ずーっと昔からある言い伝えじゃ」 フィクサー「聞かせてくれないか! その話!」 婆「あぁ、この話をするのも久しぶり……」 「遥か遠い未来、1人の少女と4人の勇者が現れる。勇者たちは少女の夢を叶えようとするが、途中で夢破れてしまった。勇者たちの砕け散った夢や希望は地に埋まる。それを見た少女は涙を流し、その涙は洪水を起こし全てを飲み込み、新たな土地を作った……」 婆「…………この言い伝えが夢花火伝説と呼ばれてるよ」 明日葉「………フィクサー、この状況って」 フィクサー「あぁ、ちょっと違うが……多分俺らだ」 一方、図書館にて−−− ミーティア「うわー、涼しいねー!」 夢夏「図書館では静かにねー、まぁ人は全くいないけど」 ミーティア「ここに夢花火があるのー⁉︎」 夢夏「うーん、半々かな。探してみないと分からないね」 ミーティア「そっか………じゃあさ! 夢夏より早く見つけられたらご褒美ちょうだい!」 夢夏「良いよ、なら勝負しようか! お先!」 ミーティア「あ、待ってよー!」 夢夏「……………歴史的文献の場所探してるけど」 ミーティア「夢花火は出てこなかったね……」 夢夏「うーん、場所が違うのかな。こんな時、AIがあればなー」 ミーティア「頼りっぱは良くないよ!」 夢夏「………まさか、ミーティアに言われるとはね。私だけ言われるのも癪だから、あとで真守にも言っといて」 ミーティア「うん、分かった!」 夢夏「……良し! じゃあ再開しよっか!」 ミーティア「夢夏、ゴーゴーだよ!」 夢夏「………………ん? これは……」 ミーティア「夢夏、なんか見つけたの?」 夢夏「夢見る少女と花火について………これもしかしたら……」 ミーティア「夢花火かも! 夢夏、見てみよ!」 夢夏「うん、でもやっと見つけたよ……疲れた」 ミーティア「もうすっかり夕方だしね」 夢夏「じゃあ見てみよっか」 「夢見る少女は踊る、縦横無尽にどこまでも。夢見る者を見つけては、その者の前に現れる。しかし少女は気づかない、自身が夢の破壊者だと。気づかずに夢に巻き込んで、破れた夢を取り込んで。少女は泣き続け記憶を失う、そしてまた空へ飛び立つ。あぁ、哀れな少女、あぁ、悲しき少女よ………夢花火と」(この先はページが破られている) 夢夏「…………なにこれ、ミーティアのこと?」 ミーティア「……夢夏、私、夢壊しちゃうの?」 夢夏「そんな事ないよ! こんな本、誰かが作った嘘だって!(………でも合う部分はある)」 ミーティア「うん………でもなんで最後破かれてるんだろ?」 夢夏「確かに……もしなんか汚したとしても破るほどじゃないだろうし」 ミーティア「うーん………あ、閃いた! 貸出カード見てみたら⁉︎」 夢夏「あー、まぁ誰かがやった可能性はあるか……どれどれ」 ミーティア「…………何も書いてないね」 夢夏「仕方ないかな、埃かぶってたしね」 ミーティア「むぅ……夢花火知れると思ったのに」 夢夏「大丈夫、絶対見つけるよ! フィクサー達もなんか見つけてるかもしれないし」 ミーティア「………うん」 夢夏「あー、ほら元気出しなって! そうだ、家帰ったらハンバーグ作ってあげるよ」 ミーティア「! ハンバーグー!」 夢夏「こういう時だけ早いんだから………待ってー!」 ミーティア「どっちか早いか勝負だよ、夢夏!」 夢夏「言ったね? 負けないよー!」 ?「………夢花火として飛び立ち、命を散らす。縦横無尽の少女は破れた夢を詰め込み、また新たな人々に夢を与えるため、その命散らす。その隕石は夢の破壊者ではなく夢を管理する夢の循環者である。あぁ、哀れな少女よ。悲しき勇者たちよ。あぁ、命の花火よ…………」 第5章 夢花火捜索隊 続く

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夢花火と僕ら 5章

夢花火と僕ら 4章

4章 犬すら食わぬ痴話喧嘩 フィクサー「良いか、ミーティア。俺の名前はフィクサーだ!」 ミーティア「………ふぃくさ?」 フィクサー「惜しい、伸ばし棒が足りねぇな! フィクサーだ!」 ミーティア「………! イグサー!」 フィクサー「それは畳になるやつ!」 真守「…………何してるの、あれ?」 夢夏「自分の名前覚えさせてるらしいよ。まぁ失敗続きだけど」 真守「フィクサーも飽きないな………」 夢夏「まぁ一旦避難警告も解除されたし私たちがお咎めなしで良かったのもフィクサーのおかげだから感謝しないとね。そういえば、なんか分かった事ある?」 真守「うーん、まぁ宇宙から来たのは絶対だろうね。あと夢花火についてネットで検索してみたけど何も無かったね………」 夢夏「そっか、やっぱ本で調べるしかないかな…………というか宇宙人は確定なんだ」 真守「まぁ様々な可能性を考慮しても、宇宙人の確率がほぼですね」 夢夏「宇宙人にしては地球に随分早く馴染んでるね」 ミーティア「あ、ヤクザー!」 フィクサー「だからフ・ィ・ク・サー!」 男子トイレ−−− フィクサー「なんでミーティアは覚えられてフィクサーは覚えられないんだ……?」 真守「発音が難しいとか?」 フィクサー「もうちょい真面目に考えてくれるとフィクサーちゃん嬉しいな!」 真守「もうフィクサーはやめて西城戸って名乗れよ」 フィクサー「それだけはどうしてもな……生理的に無理」 真守「一応、お前の苗字だろ………」 ?「…………ん? もしかしてアンタ……真守か?」 真守「え? もしかして………浪岡⁉︎」 浪岡「そうそう! うわ、久しぶりだな! 小学振りか?」 真守「もうそんなになるね………」 フィクサー「………お前ら知り合いなのか?」 真守「そうだな、浪岡哲って名前で小学生の時の同級生だよ」 浪岡「家は近いのに会わないもんだな。まさか、ここに進学してるとは」 フィクサー「そうか、じゃあよろしくな! 俺は演劇同好会会長のフィクサーってもんだ!」 浪岡「? あ、あぁ、よろしく」 真守「まぁ軽いジョークだから気にしないでくれ。浪岡は今何してるんだ?」 浪岡「俺は今サッカー部で副キャプテンやってるぜ」 真守「おぉ、副キャプテン! そこまで出来るって凄いな」 フィクサー「…………にしては元気なさそうな顔だな」 浪岡「………! バレちゃったか……」 真守「え、そうなのか⁉︎ 気づけなくてごめん……」 浪岡「いや、良いよ。大したことでもないし」 フィクサー「でも何で悩んでんだ?」 浪岡「…………実は、最近彼女と上手くいってなくて」 真守「なるほど………浪岡、僕たち彼女いた事ないけど協力させてくれ!」 フィクサー「あぁ、友達の友達は友達だからな! 彼女いた事はねぇけど!」 浪岡「………フッ、ハハハハハ!」 「「?」」 浪岡「ありがとう、元気出たよ………お願いするよ、手を貸してくれ」 真守「あぁ、任しとけ!」 フィクサー「そういや彼女の名前、なんて言うんだ?」 浪岡「名前は明日葉、高山明日葉だよ」 真守「え⁉︎ フィクサー、明日葉って………」 フィクサー「おう、うちの……部員だ!」 ガララ! フィクサー「明日葉、いるか⁉︎」 明日葉「わ、ビックリした………いきなり何? 演劇ならやらないわよ」 フィクサー「生憎、今日はそれが目的じゃねぇ」 明日葉「え、違うの?」 フィクサー「悲しいけどな………とりあえず部室に来てくれ」 明日葉「………いや、普通に断るけど」 フィクサー「え! 何でだ⁉︎」 明日葉「私これから男子たちと飯食べてくるから」 フィクサー「…………彼氏はどうしたんだ?」 明日葉「………なんでアンタが知ってんのよ」 フィクサー「まぁ色々あってな」 明日葉「………ハァ、とりあえずもう行くから」 フィクサー「そうはさせるかよ!」 ガシッ 明日葉「ちょ、何するのよ!」 フィクサー「お前が付いてこないのは想定内だ………だから無理やり担いで持って行くんだ!」 明日葉「なんだそれ! あとフィクサーって言うならもっと頭脳派で賢くあれよ!」 フィクサー「めっちゃ耳が痛いぜ、でも行くぞ! フィクサーダッシュ!」 明日葉「だからさぁ!」 会室−−− 夢夏「………ここ完全に溜まり場になっちゃってるね」 真守「人がいなくて集まりやすい場所がここか屋上くらいしかないですからね」 夢夏「ミーティアは隠れてもらってるし準備は良いね」 真守「えぇ、あの沈黙を破るのは至難ですけど………」 明日葉「……………」 浪岡「……………」 フィクサー「…………おぉ、沈黙で3分超えたな。カップラーメン作れるぜ」 明日葉「私たち舐めてるの?」 フィクサー「そんな気はねぇって! 俺たちはただ、お前らを仲直りさせたいだけだよ」 明日葉「………なんでそんな事」 フィクサー「そりゃお前らが友達だからだよ!」 夢夏「フィクサーの言う通りだよ。あんな仲良かったのに」 明日葉「…………1週間くらい前、いつものコスメ買いに行ったら浪岡がいてさ。ただ、真守の隣に私と同じくらいの年齢で仲が良さそうな女がいたんだよ!」 浪岡「だからあれは浮気じゃないんだって!」 明日葉「言い訳なんて聞きたくないよ!」 フィクサー「まぁ落ち着けよ! とりあえず2人の意見をまとめると、明日葉は浪岡が浮気したと思ってて、浪岡は浮気じゃないと主張してるな」 真守「話聞くと、浪岡が誰と何の目的でいたのかが大事そうだね」 浪岡「………確かに俺はあの時、女子といたよ。ただ、浮気じゃなくてその……」 明日葉「……その、何なのさ?」 夢夏「客観的に見たら、今は浪岡くんが浮気した感じになってるけど………」 浪岡「…………仕方ない、もう出すしかないか」 真守「ん? 何か持ってるのか?」 浪岡「明日葉、これを受け取ってくれ!」 明日葉「あ………これって…」 フィクサー「………ヘルメットか?」 浪岡「あぁ、実はもうすぐ付き合って3ヶ月だから新しいツーリング用のヘルメットをプレゼントしようと思ったんだ」 明日葉「じゃ、じゃああの女子は……⁉︎」 浪岡「あれはバイクに詳しい先輩だよ。ちょっとアドバイス貰ってたんだ」 明日葉「そうなんだ………ごめん、勘違いして責め立てちゃって……」 浪岡「俺もごめん、サプライズしたくて勘違いさせちゃった……」 明日葉「フフ、私たち似た物同士だね」 浪岡「あ、本当だ………」 夢夏「仲直り………出来たのかな?」 真守「うん、完璧にね。これで一件落着かな」 明日葉「………2人もフィクサーもごめん、色々迷惑かけちゃって」 夢夏「……………驚いた、素直に謝れたんだ」 明日葉「ちょっと本気で殴っていい?」 夢夏「ごめんごめん、でもそんな元気ならもう大丈夫そうだね」 明日葉「調子の良いやつ………フィクサーもありがとね、まぁこれからちょっとは顔出すよ……」 フィクサー「本当か! ありがとうな、明日葉!」 明日葉「アンタは本当変わらないね………」 フィクサー「俺はフィクサーだからな!」 ミーティア「………シグサー!」 「「「み、ミーティア!」」」 浪岡「こ、子供⁉︎」 明日葉「ど、どういうこと⁉︎」 夢夏「………真守、これどうする?」 真守「隠し通すのも難しいような………思い切って協力してもらう?」 夢夏「いとこの子供は………無理あるか」 夢夏「………………というわけなんだよ」 浪岡「………いや、聞いても分からないな。宇宙人なのも夢花火が何なのかも飲み込めねぇよ!」 夢夏「まぁそれは私たちも同じだけど……」 ミーティア「? どうしたノ、夢夏!」 夢夏「こうして実在してるからね」 浪岡「まぁ確かに幻覚ではないな……」 明日葉「………………」 フィクサー「? 明日葉、考え込んでどうしたんだ?」 明日葉「………私、夢花火を聞いたことあるんだけど……」 「「「「え⁉︎」」」」 ミーティア「夢花火ー!」 第4章 犬すら食わぬ痴話喧嘩 続く

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夢花火と僕ら 4章

夢花火と僕ら 3章

第3章 宇宙からの来訪者? それはなんて事ない、いつもの日常だった フィクサー「…………うーん、違うな。やっぱり衣装から作り直さないと……」 信也「………良し、これで12連勝!」 モッくん「ふ、甘いな。僕は20連勝だぞ!」 信也「な………じゃあ今から追いついてやるぜ!」 真守「相変わらずゲーム廃人だな2人は………」 「…………であるからしてこうなる訳だ。分かったかー?」 「「「「はーい」」」」 「じゃあそうだな………夢夏、要約して答えてみろ」 夢夏「えー、私?」 「そうだ、答えてみろー」 夢夏「はーい…………ここは」 チュドーン‼︎‼︎‼︎ 「うわ、一体何の音だ⁉︎」 ビービービー‼︎ 「強い衝撃を近場で感知! 危険度は高く、今すぐ避難を!」 「なるほど……………みんな良く聞け、今から校庭に避難を開始する! 絶対に騒がず落ち着いて!」 月華高等学校 校庭−−− 「みんな落ち着いて! とりあえず先生たちが確認してるから、万が一のためにいつでもまた避難できる準備をしておいて!」 真守「………あ、いた! 夢夏さん!」 夢夏「あ、真守! 大丈夫だった⁉︎」 真守「はい、何とか。でも何が起こったのか……」 夢夏「地震なのかな……でも落ち着くまで待つしかないね」 真守「…………そうしたいんですけど、フィクサーがいないんですよ」 夢夏「え、フィクサーが⁉︎ もしかしてまだ学校に?」 真守「朝に姿は見たので恐らく」 夢夏「…………じゃあ助けに行くしかないね。友達だもん!」 真守「かなり手の掛かる友達ですよ………女子1人じゃ危険ですから僕も付いて行くよ!」 夢夏「それでこそ真守だね! 見つからないように気をつけて行こう!」 夢夏「……………クラスにはいないか、どこに行ったんだろ」 真守「となるとトイレかな……」 「ん? あ、お前ら何してる!」 夢夏「ヤベ、見つかった!」 「校庭で待機指示が出ていたろ! 今すぐ戻れ!」 夢夏「真守、逃げるよ!」 真守「は、はい!」 タッタッタ 「廊下で走るんじゃない!」 夢夏「全然振り解けない………体力もマズイかも」 真守「でもどこかで巻かないと………あ、あそこに角が!」 夢夏「こうなったら一か八だ!」 「待てーって………いない。クソ、奥に行ったな! 校庭に戻れー!」 夢夏「ありがとう、助かったよ………フィクサー」 フィクサー「良いってことよ! それより怪我は大丈夫か?」 真守「何とかね。しかし、助かったとはいえ無茶なことしたな」 夢夏「まさか、角を超えた瞬間に演劇同好会の会室に引き込まれるなんてね………あれ? でもどうしてフィクサーはいたの?」 フィクサー「あー、まぁ授業サボってここで色々やっててな。そしたら避難警報が出たわけだ」 真守「怪我なくて良かったけど、サボってたのかよ………そういえば何が起こったか分かるか?」 フィクサー「そこの窓を見てみたまえ!」 夢夏「何だろ………ってあれは⁉︎」 目に映った光景は、山のほぼ片面が巨大なクレーターになったものだった 真守「あの山って………この高校からちょっと離れた裏山だよな?」 フィクサー「あぁ、つまり隕石が落ちてきたってわけだ。もうドローン共が調査しに来てるぞ」 夢夏「でも穴はあんなデカいのに隕石その物は見えないね」 真守「言われてみれば………回収された感じではないだろうし」 夢夏「…………良し、ちょっと見に行ってみよ!」 真守「え⁉︎ そんな危ないことダメですよ!」 夢夏「大丈夫! ちょっと離れたとこから見るだけ、しかも今戻ったら先生に怒られるし」 真守「まぁそれは………」 フィクサー「そう決まったら早速だ! 危なくない程度に行こうぜ!」 フィクサー「…………ま、そうは言っても無いは無いな」 夢夏「でも不思議だね、月華のシステムなら大きな隕石を感知できてもおかしくないのに」 真守「あ、確かに! 考えてみたらなんで作動しなかったんだ………?」 ガサッ フィクサー「うぉ、何の音だ⁉︎」 夢夏「なんか虫か狸じゃないの?」 ガサガサ 真守「………虫や狸にしては」 フィクサー「音がデカいような………」 ガサガサガサッ! フィクサー「マズイ、来るぞ!」 ?「見ツ、ケター!」 夢夏「うわ⁉︎」 フィクサー「夢夏…って⁉︎」 夢夏「ん……2人とも、目閉じて!」 真守「え、あ、はい!」 フィクサー「なんで裸なんだよ、その子!」 ?「えへへー、見つ、けた!」 夢夏「とりあえずちょっと待って! フィクサー、肌隠せるものない⁉︎」 フィクサー「え、あー、そうだな…………あ! 俺のバックに直す予定の服が入ってるぜ! ちょっとダボダボだけどな」 夢夏「分かった、ありがとう!」 月華高等学校 廃校舎−−− フィクサー「………ここって廃校舎あったんだな」 真守「まだ機械があんまり導入されてない時代のやつだな。もう倉庫の役割でしか使われてないけど」 夢夏「それでキミは誰?」 その少女の見た目は、淡い青色の長髪で身長も低く、外国人の子供のようだった ?「?」 夢夏「あー、じゃあ何処から来たの?」 ?「! あそこ!」 夢夏「あそこって………天井?」 真守「上を指してるから………どこだろう?」 フィクサー「………! もしかして……宇宙じゃないか⁉︎」 「「宇宙ー⁉︎」」 真守「そんなの…………でも確かに隕石がないのも居たのが現場の近くだったり当てはまる……」 フィクサー「オマケに日本語もそんな上手くないしな」 夢夏「じゃあキミは……宇宙人?」 ?「うちゅう、人?」 真守「とりあえず色々考えることはあるけど、呼びずらいから名前決めませんか?」 夢夏「そうだね、うーん………あ、ミーティアノートってのはどう?」 フィクサー「ミーティアは隕石、ノートは飛行士に使われる単語………確かにコイツにピッタリだな」 真守「うん、僕も異論なしだね」 夢夏「良し! じゃあ君は“ミーティアノート”だよ」 ミーティア「ミーティアノート……ミーティア! 私、ミーティアノート!」 フィクサー「中々喜んでるじゃねぇか」 ミーティア「わたし、私ね! “夢花火”が見たい!」 「「「………夢花火?」」」 夢夏家−−− ミーティア「ここは? ドコ?」 夢夏「ここは私の家だよ。帰る場所」 ミーティア「夢夏の……帰る場所!」 夢夏「とりあえず入ろうね………」 フィクサー「…………正体とか夢花火とか気になることは沢山あるが、先生に追われてたんだろ」 真守「あ、そういえば……」 フィクサー「ミーティアを連れて行くわけにはいかないから一旦2人は帰った方が良いんじゃねぇか? まぁ夢夏に任せることになるが」 夢夏「やっぱりそうなるよねー。まぁ良いや、暮らしたらなんか分かるかもだし」 フィクサー「そう決まったらお前ら一旦帰りな! 言い訳は俺がしとくからよ」 真守「逆にお前は大丈夫なのか?」 フィクサー「俺は授業サボってただけだから言い訳しがいがあるからな」 夢夏「それは大丈夫なのかな………」 夢夏「ま、不安だけどお母さんも騒動でしばらく帰ってこれないらしいし大丈夫か」 ミーティア「ワー、これが夢夏のお家!」 夢夏「はいはい、とりあえずお風呂入ろうねー。あと服も変えないとね」 ミーティア「うん!」 夢夏「…………じゃあ電気消すよー」 ミーティア「うん!」 夢夏「………ミーティアってさ、家族とかいるの?」 ミーティア「? 家族って?」 夢夏「あー、そうだね………生まれてから基本一緒にいる人たち?」 ミーティア「ウーン……分かんない!」 夢夏「そっかー、分からないかー」 ミーティア「うん、覚えてるのは夢花火を見たいって事だけ………あ、あと夢夏が優しい!」 夢夏「フフ、なら記憶を取り戻すために頑張らないとね!」 ミーティア「! ありがとう、夢夏!」 夢夏「それじゃ、おやすみ」 ミーティア「うん、おやすみなさい!」 第3章 宇宙からの来訪者? 続く

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夢花火と僕ら 3章

夢花火と僕ら 第2章

第2章 フィクサー ?「マズイ……このままだと…………人が足りねぇ!」 月華高等学校 屋上−−− 真守「……………良し、ここをこうして………あ、こっちの方が良いかな…?」 ガチャ 夢夏「ふー、授業疲れたな……って真守!」 真守「え? わ、夢夏さん⁉︎ なんで屋上に?」 夢夏「こっちのセリフでもあるけどねー、私は天気いいから屋上にご飯食べに来たんだよね」 真守「クラスの友達は大丈夫なんですか?」 夢夏「大丈夫大丈夫、真守も今日が昼帰りって分かってるでしょ? みんな、部活の自主練があるみたいなんだよねー」 真守「そういえば帰宅部でしたね……」 夢夏「そうそう、真守はパソコン部だったよね?」 真守「そうですね。まぁ人数は少ないですが……」 夢夏「それで? 結局何してるの?」 真守「あ、これはパソコン部で使ってる電力供給機が壊れたので治してるところです」 夢夏「うわー、良く分からない機械ばっか。でも部室で修理しないんだね」 真守「えぇ、あそこは狭いですしここの方が電気の繋がりが良くて作業が早く終わるんですよ」 夢夏「それはお疲れ様………そうだ! 食べてないだろうし私が作ったおにぎりあげるよ!」 真守「え⁉︎ それは大丈夫ですよ! 夢夏さんの食べる分が無くなりますし………」 夢夏「良いよ、人と食べた方が美味しいし!」 真守「なら有り難く……いただきます……!」 ガチャ ?「真守ー? お、いやがった!」 真守「…………いただきます」 ?「おいおい、無視すんなよー! 悲しくなるぜ」 真守「それで何のようだよ。西城戸」 ?「俺は西城戸じゃない………“フィクサー”だ!」 夢夏「…………フィクサー?」 夢夏の目には、フィクサーという名前に反してガタイが良くまるで柔道部のようだった フィクサー「あぁ、俺はフィクサーって言うんだ! これから宜しくな、名も知らぬ者よ!」 夢夏「………真守の友達なの?」 真守「うん、まぁ腐れ縁みたいなものかな……」 フィクサー「しかし真守よ、彼女はガールフレンドか?」 真守「ち、ち、違うって! 最近良く会うけど旧友だよ」 夢夏「それも違うよ、旧じゃなくて現時点でも友達でしょ?」 フィクサー「まぁとりあえず置いといて………頼む真守! 俺の同好会手伝ってくれ!」 真守「同好会って……演劇同好会の事か?」 フィクサー「あぁ、そうだ」 夢夏「どういう事かちょっと興味あるから聞かせてくれる?」 フィクサー「分かった、俺は演劇同好会の会長なんだが最近、演劇部の方に人が流れてって次の演目ができないんだ!」 夢夏「………演劇に関するやつが2つあると思ってたけど君だったんだねー」 フィクサー「俺は元演劇部だったんだが、やり方が気に食わなくて自分で立ち上げたんだ。でもお願いだ! お前ら、手伝ってくれないか⁉︎」 真守「勝手に夢夏を含めるなよ……」 夏夢「まぁ良いよ、面白そうだしやってみたい!」 フィクサー「おぉ、ありがとう! 命の恩人よ!」 夢夏「そこまでじゃないって………それで真守はどうする?」 真守「…………分かりました。2人に頼まれたらやってあげますよ」 フィクサー「ありがとう、心の友よ!」 真守「ガキ大将みたいな事言うなよな……」 フィクサー「そう決まったら早速部室にレッツゴーだ! 付いてきてくれ!」 夢夏「随分とテンションが高い人だねー」 演劇同好会会室−−− フィクサー「………紹介しよう、ここが演劇同好会の部室である!」 夢夏「へー、思ったより広そうな場所だね」 フィクサー「色々道具も置くからな……じゃあ入ってくれ!」 ガララ ?「………お疲れさんでーす」 フィクサー「え⁉︎ 久しぶりだなー、明日葉!」 明日葉「………来たくなかったけど、担任に少しは顔出せって言われたからね。無視してて良いや」 フィクサー「久しぶりに来てくれただけでも嬉しいわ! これから演劇やるから一緒にやろうぜ!」 明日葉「やっぱ別の部活に入った方が良かったな………しかもフィクサーって何だし」 フィクサー「…………それは……」 明日葉「………彼氏とツーリングでも行ってくる」 ガララ 夢夏「…………そんな気にして落ち込まなくても大丈夫だよ。まぁフィクサーの理由は私も気になるけど」 真守「聞いても無駄かも………僕にも教えてくれないし」 フィクサー「すまないな、別に大層な意味はないんだ。だが、これはまだ教える訳にはいかないな」 夢夏「………分かったよ、話したくないなら待ってあげる。友達だからね。真守も友達なんだからタメ口で良いのに」 真守「そうしたいんですけど、癖が抜けないんですよね……」 夢夏「なら2人がその気になるまで待ってあげるか! そういえば、演目って何やるの?」 フィクサー「あぁ、演目はオリジナルだけど王道で勇者が黒幕を倒し姫を救うものだ」 真守「配役はどうするんだ?」 フィクサー「姫は夢夏、勇者は真守。そして黒幕はもちろん………俺だ!」 夢夏「………思ったより衣装はしっかりしてるね」 真守「(か、可愛い…)ま、まぁ演劇に対しては本気だからそのおかげかな」 フィクサー「……良し、準備完了だ! 立ち位置についてくれ!」 真守「分かったー!………アイツは色々変だけど演技は上手いから見ておけば良いと思うよ」 夢夏「ふーん、それは気になるね」 真守「……お前が黒幕か! やっと追い詰めたぞ!」 フィクサー「…………良く来たな、勇者よ。正直ここまで来れるとは………甘く見ていた、その点は謝罪しよう」 真守「……………」 フィクサー「だが、それもここまでだ………私の全力を持ってお前を這い上がれない地の底まで沈ませてやろう!」 真守「その言葉、そっくりそのまま返してやろう! フィクサー、お前は魔王でも黒幕でもない………ただの悪党だ!」 フィクサー「来い勇者! 最後の瞬間まで踊ろうぞ!」 夢夏「…………(凄い……真守の演技も素人にしては上手いけど、フィクサーのは段違いだ。迫力や立ち振る舞い、台詞回しといいまるでその役に成り変わった……いや、役を“奪い取った”みたい……)」 真守「これで終わりだ、悪党!」 ザシュ フィクサー「……………ここで……幕引きか」 会室にて−−− フィクサー「お前らありがとう! おかげで良い映像が撮れたぜ!」 夢夏「大丈夫だよ、私も良いもの見れたし。まぁセリフは少なかったけど」 真守「まぁ姫は最後しか登場しないですからね………」 夢夏「でも凄いねフィクサー。失礼だけど、あんな演技ができるなんて驚いたよ」 フィクサー「そうだろ! 何たって俺はフィクサーだからな!」 真守「相変わらず分からない理屈だな……」 フィクサー「コホン………改めて2人とも、手伝ってくれてありがとう。俺はお前らの仲間だ! 何か困ったことがあったら呼んでくれよ!」 夢夏「うん、これからよろしく。フィクサー!」 フィクサー「あぁ、よろしくな。夢夏!」 涼子「…………それじゃあ乃木さん、お先に失礼します!」 乃木「はい、お疲れ様です……………」 ポチッ 人工衛星「………宇宙からの脅威度………0%」 第2章 フィクサー 続く

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夢花火と僕ら 第2章

夢花火と僕ら  第1章

第1章 機械と生きる町 ピピピピピ−−− ?「…………うーん……あと10分」 「ダメです、7時なので起床してください」 ?「全く……機械は二度寝したいって心が分からないのかな?」 「7時から37秒過ぎています。起きてください、夢夏様」 夢夏「はいはいっと」 ?「ふふふ〜ん」 夢夏「ふぁぁーあ………あれ、お母さん?」 夢夏母「あ、夢夏! おはよう!」 夢夏「うん、おはよう。でも珍しいね、お母さんが朝にいるなんて」 夢夏母「今日は運良く遅番なのよ! まぁ帰ってくるのは深夜じゃなくて明日になっちゃうけど……」 夢夏「大丈夫だよ、じゃあ明日は私が朝ごはん作るね」 夢夏母「本当にいつもごめんね………」 夢夏「このくらい平気だよ? それより、お母さんの体の方が心配だよ」 夢夏母「まだ何とかなってるから大丈夫よ! このプロジェクトが終わったら旅行行きたいわね………あ、テレビ付けて。4チャンネルね」 「テレビ4チャンネルで起動します」 夢夏「結局、お母さんは何の研究してるの?」 夢夏母「私も言いたいんだけど、家族にすら秘密にしなきゃいけないのよ。ごめんね」 夢夏「まぁ成功する事を祈ってるよ」 「夢夏様、そろそろ登校時間です」 夢夏「ヤバ、もうこんな時間! 行ってきまーす!」 夢夏母「あ、気をつけてねー!」 夢夏「………ふぅ、何とかバスの時間には間に合いそうだな。ん、あの猫背は……」 ?「…………」ポチポチ 夢夏「や、真守。おはよう」 真守「あ……おはようございます」 夢夏「別にそんな敬語使わなくても良いよ、友達だし」 真守「夢夏…さんは凄いですね………僕だったら気まづくて旧友に話しかけられません……」 夢夏「え、シンプル悪口?」 真守「い、いや、違います! 普通にその度胸が凄いと思って……!」 夢夏「ふーん、なら良し。口下手なのは知ってるからね………そういえば、さっきは何いじってたの?」 真守「あ、これはパソコン部で使うプログラミングコードでこれを使うことで…」 夢夏「ごめん、やっぱ理解できないからパス。でも相変わらず機械弄りは得意だね」 真守「うん、僕の唯一の長所だから」 夢夏「そんな悲しいこと言わないの」 プシュュュー 夢夏「お、バスが来たみたい。さてと……行きますか!」 「…………ここは実験都市、月華町。人口は約500人ほどの小さな町ですが、この町ではなんと人間とAIが共存して暮らしています。例えば、町面積5割を占める畑や発電所の管理をしていたり、家でもAIが生活をサポートしています。そして、このAIの町を作ったのは町の中心にある“月華ホールディングス”という会社です。一目見て分かる通り、まさに摩天楼! 250階にもなるタワー全部が月華ホールディングスなんです! まだまだ募集中なので皆様も是非、月華町の移住に応募してください!」 夢夏「………しっかし、相変わらずこの町は凄いねー」 真守「えぇ、でもまだまだモデルが足りないらしいですね………だけど、夢夏さんのお母さんもそこで働いてるんですよね?」 夢夏「うん、なんか難しいプロジェクトをやってるらしい…………真守さ、機械が得意なら月華にハッキングでもしてみたら?」 真守「え! そんなの無理ですよ! 月華のセキュリティは厳重で世界レベルのプロハッカー5人はいないと破れないとも言われてるんですよ!」 夢夏「流石に詳しいねー」 真守「い、一応月華に就職しようと思っているので……」 夢夏「へー………でもあそこブラックだから気をつけてね」 真守「は、はい」 プシュュュー 夢夏「お、着いたね。じゃあ降りよっか」 真守「えぇ、そうしましょう」 夢夏「…………良し、でも本当に久しぶりに会えて良かったよ」 真守「私も同じ気持ちです」 夢夏「なら良し、じゃあまたね!」 真守「はい!………ふふ」 ?「なーにイチャコラしてんですかー⁉︎」 真守「わ! って信也とモッくん!」 信也「パソコン部部長ともあろう方が、恋愛ですかー⁉︎」 モッくん「抜け駆けは許せねぇな!」 真守「いや、あの子は昔の幼馴染で……」 「「問答無用だ!」」 真守「あ、ちょっと! どこ行くんだよ!」 モッくん「そりゃ部室に決まっておろうが!」 信也「プログラミング5時間の刑だ!」 真守「は、離してー!」 夢夏「なんかあっちが騒がしいな………」 「おーい、お前ら! あと10分で授業始まるぞー!」 夢夏「やべ、急がなきゃ」 一方その頃−−− 夢夏母「…………うん、これで大丈夫よ。強いて言えばここのデザインを変えた方が良いかな」 「ありがとうございます、涼子さん!」 涼子「普通に課長で良いよー…………さて皆、もうそろそろでこのプロジェクトも終盤、気張ってやってこう!」 「「「「はい!」」」」 ?「………全く、みんな元気なもんですね」 涼子「えぇ、乃木さんも本気出してくれて良いんですよ」 乃木「こんな中年に出来ることなんてないですよ………」 涼子「そう卑下しないでくださいよー」 ?「………皆さん、仕事に精が出ますね」 涼子「あ、雲井さん。おはようございます」 雲井「あぁ………それで、人工衛星プロジェクトは順調か?」 涼子「はい、まずご存知と思いますが我々が行なっているのは人工衛星を用いた宇宙からの危機を察知するもので、去年に人工衛星の打ち上げに成功しました」 雲井「そうだったな、それで今はどうなってる?」 涼子「今は計画通り進んでおり危機察知が完璧に行えます。数ヶ月前にも地球に接近している隕石を発見できました」 雲井「そこまでで良い。会長に提出するには十分な結果だ」 涼子「あ、ありがとうございます!」 雲井「………まぁ私はなぜ会長がこんなプロジェクトを通したか分からないけどな。もう災害の計算もできて必要性が少ないから幹部連中も反対だったのに一体なぜ……」 涼子「…………雲井さんも反対派だったのに会長への報告係になったんですよね」 雲井「……………黙って仕事をやってろ」 バタン 乃木「……ハァ、いきなり喧嘩売るからビックリしましたよ」 涼子「あの男にはこのくらいガツンと言った方が良いんですよ!」 乃木「そんなもんですか……」 乃木「…………良し、プログラミングもようやく終わったか。お先に失礼します」 涼子「はーい、お疲れ様です!」 乃木「………ふぅ、帰る前にスーパーでなんか買うか」 雲井「やぁ、乃木くん。お疲れ様」 乃木「あ、雲井さん。お疲れ様です」 雲井「どうだ、この後一杯行かないか?」 乃木「いやー、すいません。植物の世話をしなくてはいけないので……」 雲井「なら仕方ないか。また飲みに行きましょう……………それで話は変わるが、出世欲はないか?」 乃木「出世欲……ですか?」 雲井「あぁ、分かりやすいようにいうと……あの馬鹿げた計画を裏切る気はありますか」 乃木「………………」 ?「………見つ、けた!」 第1章 機械と生きる町 続く

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夢花火と僕ら  第1章