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よろしくお願いします! 文ストの敦推しです(少ないですがQ敦が好きです) かなり長文を書いたりします

夢花火と僕ら 4章

4章 犬すら食わぬ痴話喧嘩 フィクサー「良いか、ミーティア。俺の名前はフィクサーだ!」 ミーティア「………ふぃくさ?」 フィクサー「惜しい、伸ばし棒が足りねぇな! フィクサーだ!」 ミーティア「………! イグサー!」 フィクサー「それは畳になるやつ!」 真守「…………何してるの、あれ?」 夢夏「自分の名前覚えさせてるらしいよ。まぁ失敗続きだけど」 真守「フィクサーも飽きないな………」 夢夏「まぁ一旦避難警告も解除されたし私たちがお咎めなしで良かったのもフィクサーのおかげだから感謝しないとね。そういえば、なんか分かった事ある?」 真守「うーん、まぁ宇宙から来たのは絶対だろうね。あと夢花火についてネットで検索してみたけど何も無かったね………」 夢夏「そっか、やっぱ本で調べるしかないかな…………というか宇宙人は確定なんだ」 真守「まぁ様々な可能性を考慮しても、宇宙人の確率がほぼですね」 夢夏「宇宙人にしては地球に随分早く馴染んでるね」 ミーティア「あ、ヤクザー!」 フィクサー「だからフ・ィ・ク・サー!」 男子トイレ−−− フィクサー「なんでミーティアは覚えられてフィクサーは覚えられないんだ……?」 真守「発音が難しいとか?」 フィクサー「もうちょい真面目に考えてくれるとフィクサーちゃん嬉しいな!」 真守「もうフィクサーはやめて西城戸って名乗れよ」 フィクサー「それだけはどうしてもな……生理的に無理」 真守「一応、お前の苗字だろ………」 ?「…………ん? もしかしてアンタ……真守か?」 真守「え? もしかして………浪岡⁉︎」 浪岡「そうそう! うわ、久しぶりだな! 小学振りか?」 真守「もうそんなになるね………」 フィクサー「………お前ら知り合いなのか?」 真守「そうだな、浪岡哲って名前で小学生の時の同級生だよ」 浪岡「家は近いのに会わないもんだな。まさか、ここに進学してるとは」 フィクサー「そうか、じゃあよろしくな! 俺は演劇同好会会長のフィクサーってもんだ!」 浪岡「? あ、あぁ、よろしく」 真守「まぁ軽いジョークだから気にしないでくれ。浪岡は今何してるんだ?」 浪岡「俺は今サッカー部で副キャプテンやってるぜ」 真守「おぉ、副キャプテン! そこまで出来るって凄いな」 フィクサー「…………にしては元気なさそうな顔だな」 浪岡「………! バレちゃったか……」 真守「え、そうなのか⁉︎ 気づけなくてごめん……」 浪岡「いや、良いよ。大したことでもないし」 フィクサー「でも何で悩んでんだ?」 浪岡「…………実は、最近彼女と上手くいってなくて」 真守「なるほど………浪岡、僕たち彼女いた事ないけど協力させてくれ!」 フィクサー「あぁ、友達の友達は友達だからな! 彼女いた事はねぇけど!」 浪岡「………フッ、ハハハハハ!」 「「?」」 浪岡「ありがとう、元気出たよ………お願いするよ、手を貸してくれ」 真守「あぁ、任しとけ!」 フィクサー「そういや彼女の名前、なんて言うんだ?」 浪岡「名前は明日葉、高山明日葉だよ」 真守「え⁉︎ フィクサー、明日葉って………」 フィクサー「おう、うちの……部員だ!」 ガララ! フィクサー「明日葉、いるか⁉︎」 明日葉「わ、ビックリした………いきなり何? 演劇ならやらないわよ」 フィクサー「生憎、今日はそれが目的じゃねぇ」 明日葉「え、違うの?」 フィクサー「悲しいけどな………とりあえず部室に来てくれ」 明日葉「………いや、普通に断るけど」 フィクサー「え! 何でだ⁉︎」 明日葉「私これから男子たちと飯食べてくるから」 フィクサー「…………彼氏はどうしたんだ?」 明日葉「………なんでアンタが知ってんのよ」 フィクサー「まぁ色々あってな」 明日葉「………ハァ、とりあえずもう行くから」 フィクサー「そうはさせるかよ!」 ガシッ 明日葉「ちょ、何するのよ!」 フィクサー「お前が付いてこないのは想定内だ………だから無理やり担いで持って行くんだ!」 明日葉「なんだそれ! あとフィクサーって言うならもっと頭脳派で賢くあれよ!」 フィクサー「めっちゃ耳が痛いぜ、でも行くぞ! フィクサーダッシュ!」 明日葉「だからさぁ!」 会室−−− 夢夏「………ここ完全に溜まり場になっちゃってるね」 真守「人がいなくて集まりやすい場所がここか屋上くらいしかないですからね」 夢夏「ミーティアは隠れてもらってるし準備は良いね」 真守「えぇ、あの沈黙を破るのは至難ですけど………」 明日葉「……………」 浪岡「……………」 フィクサー「…………おぉ、沈黙で3分超えたな。カップラーメン作れるぜ」 明日葉「私たち舐めてるの?」 フィクサー「そんな気はねぇって! 俺たちはただ、お前らを仲直りさせたいだけだよ」 明日葉「………なんでそんな事」 フィクサー「そりゃお前らが友達だからだよ!」 夢夏「フィクサーの言う通りだよ。あんな仲良かったのに」 明日葉「…………1週間くらい前、いつものコスメ買いに行ったら浪岡がいてさ。ただ、真守の隣に私と同じくらいの年齢で仲が良さそうな女がいたんだよ!」 浪岡「だからあれは浮気じゃないんだって!」 明日葉「言い訳なんて聞きたくないよ!」 フィクサー「まぁ落ち着けよ! とりあえず2人の意見をまとめると、明日葉は浪岡が浮気したと思ってて、浪岡は浮気じゃないと主張してるな」 真守「話聞くと、浪岡が誰と何の目的でいたのかが大事そうだね」 浪岡「………確かに俺はあの時、女子といたよ。ただ、浮気じゃなくてその……」 明日葉「……その、何なのさ?」 夢夏「客観的に見たら、今は浪岡くんが浮気した感じになってるけど………」 浪岡「…………仕方ない、もう出すしかないか」 真守「ん? 何か持ってるのか?」 浪岡「明日葉、これを受け取ってくれ!」 明日葉「あ………これって…」 フィクサー「………ヘルメットか?」 浪岡「あぁ、実はもうすぐ付き合って3ヶ月だから新しいツーリング用のヘルメットをプレゼントしようと思ったんだ」 明日葉「じゃ、じゃああの女子は……⁉︎」 浪岡「あれはバイクに詳しい先輩だよ。ちょっとアドバイス貰ってたんだ」 明日葉「そうなんだ………ごめん、勘違いして責め立てちゃって……」 浪岡「俺もごめん、サプライズしたくて勘違いさせちゃった……」 明日葉「フフ、私たち似た物同士だね」 浪岡「あ、本当だ………」 夢夏「仲直り………出来たのかな?」 真守「うん、完璧にね。これで一件落着かな」 明日葉「………2人もフィクサーもごめん、色々迷惑かけちゃって」 夢夏「……………驚いた、素直に謝れたんだ」 明日葉「ちょっと本気で殴っていい?」 夢夏「ごめんごめん、でもそんな元気ならもう大丈夫そうだね」 明日葉「調子の良いやつ………フィクサーもありがとね、まぁこれからちょっとは顔出すよ……」 フィクサー「本当か! ありがとうな、明日葉!」 明日葉「アンタは本当変わらないね………」 フィクサー「俺はフィクサーだからな!」 ミーティア「………シグサー!」 「「「み、ミーティア!」」」 浪岡「こ、子供⁉︎」 明日葉「ど、どういうこと⁉︎」 夢夏「………真守、これどうする?」 真守「隠し通すのも難しいような………思い切って協力してもらう?」 夢夏「いとこの子供は………無理あるか」 夢夏「………………というわけなんだよ」 浪岡「………いや、聞いても分からないな。宇宙人なのも夢花火が何なのかも飲み込めねぇよ!」 夢夏「まぁそれは私たちも同じだけど……」 ミーティア「? どうしたノ、夢夏!」 夢夏「こうして実在してるからね」 浪岡「まぁ確かに幻覚ではないな……」 明日葉「………………」 フィクサー「? 明日葉、考え込んでどうしたんだ?」 明日葉「………私、夢花火を聞いたことあるんだけど……」 「「「「え⁉︎」」」」 ミーティア「夢花火ー!」 第4章 犬すら食わぬ痴話喧嘩 続く

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夢花火と僕ら 4章

夢花火と僕ら 3章

第3章 宇宙からの来訪者? それはなんて事ない、いつもの日常だった フィクサー「…………うーん、違うな。やっぱり衣装から作り直さないと……」 信也「………良し、これで12連勝!」 モッくん「ふ、甘いな。僕は20連勝だぞ!」 信也「な………じゃあ今から追いついてやるぜ!」 真守「相変わらずゲーム廃人だな2人は………」 「…………であるからしてこうなる訳だ。分かったかー?」 「「「「はーい」」」」 「じゃあそうだな………夢夏、要約して答えてみろ」 夢夏「えー、私?」 「そうだ、答えてみろー」 夢夏「はーい…………ここは」 チュドーン‼︎‼︎‼︎ 「うわ、一体何の音だ⁉︎」 ビービービー‼︎ 「強い衝撃を近場で感知! 危険度は高く、今すぐ避難を!」 「なるほど……………みんな良く聞け、今から校庭に避難を開始する! 絶対に騒がず落ち着いて!」 月華高等学校 校庭−−− 「みんな落ち着いて! とりあえず先生たちが確認してるから、万が一のためにいつでもまた避難できる準備をしておいて!」 真守「………あ、いた! 夢夏さん!」 夢夏「あ、真守! 大丈夫だった⁉︎」 真守「はい、何とか。でも何が起こったのか……」 夢夏「地震なのかな……でも落ち着くまで待つしかないね」 真守「…………そうしたいんですけど、フィクサーがいないんですよ」 夢夏「え、フィクサーが⁉︎ もしかしてまだ学校に?」 真守「朝に姿は見たので恐らく」 夢夏「…………じゃあ助けに行くしかないね。友達だもん!」 真守「かなり手の掛かる友達ですよ………女子1人じゃ危険ですから僕も付いて行くよ!」 夢夏「それでこそ真守だね! 見つからないように気をつけて行こう!」 夢夏「……………クラスにはいないか、どこに行ったんだろ」 真守「となるとトイレかな……」 「ん? あ、お前ら何してる!」 夢夏「ヤベ、見つかった!」 「校庭で待機指示が出ていたろ! 今すぐ戻れ!」 夢夏「真守、逃げるよ!」 真守「は、はい!」 タッタッタ 「廊下で走るんじゃない!」 夢夏「全然振り解けない………体力もマズイかも」 真守「でもどこかで巻かないと………あ、あそこに角が!」 夢夏「こうなったら一か八だ!」 「待てーって………いない。クソ、奥に行ったな! 校庭に戻れー!」 夢夏「ありがとう、助かったよ………フィクサー」 フィクサー「良いってことよ! それより怪我は大丈夫か?」 真守「何とかね。しかし、助かったとはいえ無茶なことしたな」 夢夏「まさか、角を超えた瞬間に演劇同好会の会室に引き込まれるなんてね………あれ? でもどうしてフィクサーはいたの?」 フィクサー「あー、まぁ授業サボってここで色々やっててな。そしたら避難警報が出たわけだ」 真守「怪我なくて良かったけど、サボってたのかよ………そういえば何が起こったか分かるか?」 フィクサー「そこの窓を見てみたまえ!」 夢夏「何だろ………ってあれは⁉︎」 目に映った光景は、山のほぼ片面が巨大なクレーターになったものだった 真守「あの山って………この高校からちょっと離れた裏山だよな?」 フィクサー「あぁ、つまり隕石が落ちてきたってわけだ。もうドローン共が調査しに来てるぞ」 夢夏「でも穴はあんなデカいのに隕石その物は見えないね」 真守「言われてみれば………回収された感じではないだろうし」 夢夏「…………良し、ちょっと見に行ってみよ!」 真守「え⁉︎ そんな危ないことダメですよ!」 夢夏「大丈夫! ちょっと離れたとこから見るだけ、しかも今戻ったら先生に怒られるし」 真守「まぁそれは………」 フィクサー「そう決まったら早速だ! 危なくない程度に行こうぜ!」 フィクサー「…………ま、そうは言っても無いは無いな」 夢夏「でも不思議だね、月華のシステムなら大きな隕石を感知できてもおかしくないのに」 真守「あ、確かに! 考えてみたらなんで作動しなかったんだ………?」 ガサッ フィクサー「うぉ、何の音だ⁉︎」 夢夏「なんか虫か狸じゃないの?」 ガサガサ 真守「………虫や狸にしては」 フィクサー「音がデカいような………」 ガサガサガサッ! フィクサー「マズイ、来るぞ!」 ?「見ツ、ケター!」 夢夏「うわ⁉︎」 フィクサー「夢夏…って⁉︎」 夢夏「ん……2人とも、目閉じて!」 真守「え、あ、はい!」 フィクサー「なんで裸なんだよ、その子!」 ?「えへへー、見つ、けた!」 夢夏「とりあえずちょっと待って! フィクサー、肌隠せるものない⁉︎」 フィクサー「え、あー、そうだな…………あ! 俺のバックに直す予定の服が入ってるぜ! ちょっとダボダボだけどな」 夢夏「分かった、ありがとう!」 月華高等学校 廃校舎−−− フィクサー「………ここって廃校舎あったんだな」 真守「まだ機械があんまり導入されてない時代のやつだな。もう倉庫の役割でしか使われてないけど」 夢夏「それでキミは誰?」 その少女の見た目は、淡い青色の長髪で身長も低く、外国人の子供のようだった ?「?」 夢夏「あー、じゃあ何処から来たの?」 ?「! あそこ!」 夢夏「あそこって………天井?」 真守「上を指してるから………どこだろう?」 フィクサー「………! もしかして……宇宙じゃないか⁉︎」 「「宇宙ー⁉︎」」 真守「そんなの…………でも確かに隕石がないのも居たのが現場の近くだったり当てはまる……」 フィクサー「オマケに日本語もそんな上手くないしな」 夢夏「じゃあキミは……宇宙人?」 ?「うちゅう、人?」 真守「とりあえず色々考えることはあるけど、呼びずらいから名前決めませんか?」 夢夏「そうだね、うーん………あ、ミーティアノートってのはどう?」 フィクサー「ミーティアは隕石、ノートは飛行士に使われる単語………確かにコイツにピッタリだな」 真守「うん、僕も異論なしだね」 夢夏「良し! じゃあ君は“ミーティアノート”だよ」 ミーティア「ミーティアノート……ミーティア! 私、ミーティアノート!」 フィクサー「中々喜んでるじゃねぇか」 ミーティア「わたし、私ね! “夢花火”が見たい!」 「「「………夢花火?」」」 夢夏家−−− ミーティア「ここは? ドコ?」 夢夏「ここは私の家だよ。帰る場所」 ミーティア「夢夏の……帰る場所!」 夢夏「とりあえず入ろうね………」 フィクサー「…………正体とか夢花火とか気になることは沢山あるが、先生に追われてたんだろ」 真守「あ、そういえば……」 フィクサー「ミーティアを連れて行くわけにはいかないから一旦2人は帰った方が良いんじゃねぇか? まぁ夢夏に任せることになるが」 夢夏「やっぱりそうなるよねー。まぁ良いや、暮らしたらなんか分かるかもだし」 フィクサー「そう決まったらお前ら一旦帰りな! 言い訳は俺がしとくからよ」 真守「逆にお前は大丈夫なのか?」 フィクサー「俺は授業サボってただけだから言い訳しがいがあるからな」 夢夏「それは大丈夫なのかな………」 夢夏「ま、不安だけどお母さんも騒動でしばらく帰ってこれないらしいし大丈夫か」 ミーティア「ワー、これが夢夏のお家!」 夢夏「はいはい、とりあえずお風呂入ろうねー。あと服も変えないとね」 ミーティア「うん!」 夢夏「…………じゃあ電気消すよー」 ミーティア「うん!」 夢夏「………ミーティアってさ、家族とかいるの?」 ミーティア「? 家族って?」 夢夏「あー、そうだね………生まれてから基本一緒にいる人たち?」 ミーティア「ウーン……分かんない!」 夢夏「そっかー、分からないかー」 ミーティア「うん、覚えてるのは夢花火を見たいって事だけ………あ、あと夢夏が優しい!」 夢夏「フフ、なら記憶を取り戻すために頑張らないとね!」 ミーティア「! ありがとう、夢夏!」 夢夏「それじゃ、おやすみ」 ミーティア「うん、おやすみなさい!」 第3章 宇宙からの来訪者? 続く

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夢花火と僕ら 3章

夢花火と僕ら 第2章

第2章 フィクサー ?「マズイ……このままだと…………人が足りねぇ!」 月華高等学校 屋上−−− 真守「……………良し、ここをこうして………あ、こっちの方が良いかな…?」 ガチャ 夢夏「ふー、授業疲れたな……って真守!」 真守「え? わ、夢夏さん⁉︎ なんで屋上に?」 夢夏「こっちのセリフでもあるけどねー、私は天気いいから屋上にご飯食べに来たんだよね」 真守「クラスの友達は大丈夫なんですか?」 夢夏「大丈夫大丈夫、真守も今日が昼帰りって分かってるでしょ? みんな、部活の自主練があるみたいなんだよねー」 真守「そういえば帰宅部でしたね……」 夢夏「そうそう、真守はパソコン部だったよね?」 真守「そうですね。まぁ人数は少ないですが……」 夢夏「それで? 結局何してるの?」 真守「あ、これはパソコン部で使ってる電力供給機が壊れたので治してるところです」 夢夏「うわー、良く分からない機械ばっか。でも部室で修理しないんだね」 真守「えぇ、あそこは狭いですしここの方が電気の繋がりが良くて作業が早く終わるんですよ」 夢夏「それはお疲れ様………そうだ! 食べてないだろうし私が作ったおにぎりあげるよ!」 真守「え⁉︎ それは大丈夫ですよ! 夢夏さんの食べる分が無くなりますし………」 夢夏「良いよ、人と食べた方が美味しいし!」 真守「なら有り難く……いただきます……!」 ガチャ ?「真守ー? お、いやがった!」 真守「…………いただきます」 ?「おいおい、無視すんなよー! 悲しくなるぜ」 真守「それで何のようだよ。西城戸」 ?「俺は西城戸じゃない………“フィクサー”だ!」 夢夏「…………フィクサー?」 夢夏の目には、フィクサーという名前に反してガタイが良くまるで柔道部のようだった フィクサー「あぁ、俺はフィクサーって言うんだ! これから宜しくな、名も知らぬ者よ!」 夢夏「………真守の友達なの?」 真守「うん、まぁ腐れ縁みたいなものかな……」 フィクサー「しかし真守よ、彼女はガールフレンドか?」 真守「ち、ち、違うって! 最近良く会うけど旧友だよ」 夢夏「それも違うよ、旧じゃなくて現時点でも友達でしょ?」 フィクサー「まぁとりあえず置いといて………頼む真守! 俺の同好会手伝ってくれ!」 真守「同好会って……演劇同好会の事か?」 フィクサー「あぁ、そうだ」 夢夏「どういう事かちょっと興味あるから聞かせてくれる?」 フィクサー「分かった、俺は演劇同好会の会長なんだが最近、演劇部の方に人が流れてって次の演目ができないんだ!」 夢夏「………演劇に関するやつが2つあると思ってたけど君だったんだねー」 フィクサー「俺は元演劇部だったんだが、やり方が気に食わなくて自分で立ち上げたんだ。でもお願いだ! お前ら、手伝ってくれないか⁉︎」 真守「勝手に夢夏を含めるなよ……」 夏夢「まぁ良いよ、面白そうだしやってみたい!」 フィクサー「おぉ、ありがとう! 命の恩人よ!」 夢夏「そこまでじゃないって………それで真守はどうする?」 真守「…………分かりました。2人に頼まれたらやってあげますよ」 フィクサー「ありがとう、心の友よ!」 真守「ガキ大将みたいな事言うなよな……」 フィクサー「そう決まったら早速部室にレッツゴーだ! 付いてきてくれ!」 夢夏「随分とテンションが高い人だねー」 演劇同好会会室−−− フィクサー「………紹介しよう、ここが演劇同好会の部室である!」 夢夏「へー、思ったより広そうな場所だね」 フィクサー「色々道具も置くからな……じゃあ入ってくれ!」 ガララ ?「………お疲れさんでーす」 フィクサー「え⁉︎ 久しぶりだなー、明日葉!」 明日葉「………来たくなかったけど、担任に少しは顔出せって言われたからね。無視してて良いや」 フィクサー「久しぶりに来てくれただけでも嬉しいわ! これから演劇やるから一緒にやろうぜ!」 明日葉「やっぱ別の部活に入った方が良かったな………しかもフィクサーって何だし」 フィクサー「…………それは……」 明日葉「………彼氏とツーリングでも行ってくる」 ガララ 夢夏「…………そんな気にして落ち込まなくても大丈夫だよ。まぁフィクサーの理由は私も気になるけど」 真守「聞いても無駄かも………僕にも教えてくれないし」 フィクサー「すまないな、別に大層な意味はないんだ。だが、これはまだ教える訳にはいかないな」 夢夏「………分かったよ、話したくないなら待ってあげる。友達だからね。真守も友達なんだからタメ口で良いのに」 真守「そうしたいんですけど、癖が抜けないんですよね……」 夢夏「なら2人がその気になるまで待ってあげるか! そういえば、演目って何やるの?」 フィクサー「あぁ、演目はオリジナルだけど王道で勇者が黒幕を倒し姫を救うものだ」 真守「配役はどうするんだ?」 フィクサー「姫は夢夏、勇者は真守。そして黒幕はもちろん………俺だ!」 夢夏「………思ったより衣装はしっかりしてるね」 真守「(か、可愛い…)ま、まぁ演劇に対しては本気だからそのおかげかな」 フィクサー「……良し、準備完了だ! 立ち位置についてくれ!」 真守「分かったー!………アイツは色々変だけど演技は上手いから見ておけば良いと思うよ」 夢夏「ふーん、それは気になるね」 真守「……お前が黒幕か! やっと追い詰めたぞ!」 フィクサー「…………良く来たな、勇者よ。正直ここまで来れるとは………甘く見ていた、その点は謝罪しよう」 真守「……………」 フィクサー「だが、それもここまでだ………私の全力を持ってお前を這い上がれない地の底まで沈ませてやろう!」 真守「その言葉、そっくりそのまま返してやろう! フィクサー、お前は魔王でも黒幕でもない………ただの悪党だ!」 フィクサー「来い勇者! 最後の瞬間まで踊ろうぞ!」 夢夏「…………(凄い……真守の演技も素人にしては上手いけど、フィクサーのは段違いだ。迫力や立ち振る舞い、台詞回しといいまるでその役に成り変わった……いや、役を“奪い取った”みたい……)」 真守「これで終わりだ、悪党!」 ザシュ フィクサー「……………ここで……幕引きか」 会室にて−−− フィクサー「お前らありがとう! おかげで良い映像が撮れたぜ!」 夢夏「大丈夫だよ、私も良いもの見れたし。まぁセリフは少なかったけど」 真守「まぁ姫は最後しか登場しないですからね………」 夢夏「でも凄いねフィクサー。失礼だけど、あんな演技ができるなんて驚いたよ」 フィクサー「そうだろ! 何たって俺はフィクサーだからな!」 真守「相変わらず分からない理屈だな……」 フィクサー「コホン………改めて2人とも、手伝ってくれてありがとう。俺はお前らの仲間だ! 何か困ったことがあったら呼んでくれよ!」 夢夏「うん、これからよろしく。フィクサー!」 フィクサー「あぁ、よろしくな。夢夏!」 涼子「…………それじゃあ乃木さん、お先に失礼します!」 乃木「はい、お疲れ様です……………」 ポチッ 人工衛星「………宇宙からの脅威度………0%」 第2章 フィクサー 続く

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夢花火と僕ら 第2章

夢花火と僕ら  第1章

第1章 機械と生きる町 ピピピピピ−−− ?「…………うーん……あと10分」 「ダメです、7時なので起床してください」 ?「全く……機械は二度寝したいって心が分からないのかな?」 「7時から37秒過ぎています。起きてください、夢夏様」 夢夏「はいはいっと」 ?「ふふふ〜ん」 夢夏「ふぁぁーあ………あれ、お母さん?」 夢夏母「あ、夢夏! おはよう!」 夢夏「うん、おはよう。でも珍しいね、お母さんが朝にいるなんて」 夢夏母「今日は運良く遅番なのよ! まぁ帰ってくるのは深夜じゃなくて明日になっちゃうけど……」 夢夏「大丈夫だよ、じゃあ明日は私が朝ごはん作るね」 夢夏母「本当にいつもごめんね………」 夢夏「このくらい平気だよ? それより、お母さんの体の方が心配だよ」 夢夏母「まだ何とかなってるから大丈夫よ! このプロジェクトが終わったら旅行行きたいわね………あ、テレビ付けて。4チャンネルね」 「テレビ4チャンネルで起動します」 夢夏「結局、お母さんは何の研究してるの?」 夢夏母「私も言いたいんだけど、家族にすら秘密にしなきゃいけないのよ。ごめんね」 夢夏「まぁ成功する事を祈ってるよ」 「夢夏様、そろそろ登校時間です」 夢夏「ヤバ、もうこんな時間! 行ってきまーす!」 夢夏母「あ、気をつけてねー!」 夢夏「………ふぅ、何とかバスの時間には間に合いそうだな。ん、あの猫背は……」 ?「…………」ポチポチ 夢夏「や、真守。おはよう」 真守「あ……おはようございます」 夢夏「別にそんな敬語使わなくても良いよ、友達だし」 真守「夢夏…さんは凄いですね………僕だったら気まづくて旧友に話しかけられません……」 夢夏「え、シンプル悪口?」 真守「い、いや、違います! 普通にその度胸が凄いと思って……!」 夢夏「ふーん、なら良し。口下手なのは知ってるからね………そういえば、さっきは何いじってたの?」 真守「あ、これはパソコン部で使うプログラミングコードでこれを使うことで…」 夢夏「ごめん、やっぱ理解できないからパス。でも相変わらず機械弄りは得意だね」 真守「うん、僕の唯一の長所だから」 夢夏「そんな悲しいこと言わないの」 プシュュュー 夢夏「お、バスが来たみたい。さてと……行きますか!」 「…………ここは実験都市、月華町。人口は約500人ほどの小さな町ですが、この町ではなんと人間とAIが共存して暮らしています。例えば、町面積5割を占める畑や発電所の管理をしていたり、家でもAIが生活をサポートしています。そして、このAIの町を作ったのは町の中心にある“月華ホールディングス”という会社です。一目見て分かる通り、まさに摩天楼! 250階にもなるタワー全部が月華ホールディングスなんです! まだまだ募集中なので皆様も是非、月華町の移住に応募してください!」 夢夏「………しっかし、相変わらずこの町は凄いねー」 真守「えぇ、でもまだまだモデルが足りないらしいですね………だけど、夢夏さんのお母さんもそこで働いてるんですよね?」 夢夏「うん、なんか難しいプロジェクトをやってるらしい…………真守さ、機械が得意なら月華にハッキングでもしてみたら?」 真守「え! そんなの無理ですよ! 月華のセキュリティは厳重で世界レベルのプロハッカー5人はいないと破れないとも言われてるんですよ!」 夢夏「流石に詳しいねー」 真守「い、一応月華に就職しようと思っているので……」 夢夏「へー………でもあそこブラックだから気をつけてね」 真守「は、はい」 プシュュュー 夢夏「お、着いたね。じゃあ降りよっか」 真守「えぇ、そうしましょう」 夢夏「…………良し、でも本当に久しぶりに会えて良かったよ」 真守「私も同じ気持ちです」 夢夏「なら良し、じゃあまたね!」 真守「はい!………ふふ」 ?「なーにイチャコラしてんですかー⁉︎」 真守「わ! って信也とモッくん!」 信也「パソコン部部長ともあろう方が、恋愛ですかー⁉︎」 モッくん「抜け駆けは許せねぇな!」 真守「いや、あの子は昔の幼馴染で……」 「「問答無用だ!」」 真守「あ、ちょっと! どこ行くんだよ!」 モッくん「そりゃ部室に決まっておろうが!」 信也「プログラミング5時間の刑だ!」 真守「は、離してー!」 夢夏「なんかあっちが騒がしいな………」 「おーい、お前ら! あと10分で授業始まるぞー!」 夢夏「やべ、急がなきゃ」 一方その頃−−− 夢夏母「…………うん、これで大丈夫よ。強いて言えばここのデザインを変えた方が良いかな」 「ありがとうございます、涼子さん!」 涼子「普通に課長で良いよー…………さて皆、もうそろそろでこのプロジェクトも終盤、気張ってやってこう!」 「「「「はい!」」」」 ?「………全く、みんな元気なもんですね」 涼子「えぇ、乃木さんも本気出してくれて良いんですよ」 乃木「こんな中年に出来ることなんてないですよ………」 涼子「そう卑下しないでくださいよー」 ?「………皆さん、仕事に精が出ますね」 涼子「あ、雲井さん。おはようございます」 雲井「あぁ………それで、人工衛星プロジェクトは順調か?」 涼子「はい、まずご存知と思いますが我々が行なっているのは人工衛星を用いた宇宙からの危機を察知するもので、去年に人工衛星の打ち上げに成功しました」 雲井「そうだったな、それで今はどうなってる?」 涼子「今は計画通り進んでおり危機察知が完璧に行えます。数ヶ月前にも地球に接近している隕石を発見できました」 雲井「そこまでで良い。会長に提出するには十分な結果だ」 涼子「あ、ありがとうございます!」 雲井「………まぁ私はなぜ会長がこんなプロジェクトを通したか分からないけどな。もう災害の計算もできて必要性が少ないから幹部連中も反対だったのに一体なぜ……」 涼子「…………雲井さんも反対派だったのに会長への報告係になったんですよね」 雲井「……………黙って仕事をやってろ」 バタン 乃木「……ハァ、いきなり喧嘩売るからビックリしましたよ」 涼子「あの男にはこのくらいガツンと言った方が良いんですよ!」 乃木「そんなもんですか……」 乃木「…………良し、プログラミングもようやく終わったか。お先に失礼します」 涼子「はーい、お疲れ様です!」 乃木「………ふぅ、帰る前にスーパーでなんか買うか」 雲井「やぁ、乃木くん。お疲れ様」 乃木「あ、雲井さん。お疲れ様です」 雲井「どうだ、この後一杯行かないか?」 乃木「いやー、すいません。植物の世話をしなくてはいけないので……」 雲井「なら仕方ないか。また飲みに行きましょう……………それで話は変わるが、出世欲はないか?」 乃木「出世欲……ですか?」 雲井「あぁ、分かりやすいようにいうと……あの馬鹿げた計画を裏切る気はありますか」 乃木「………………」 ?「………見つ、けた!」 第1章 機械と生きる町 続く

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夢花火と僕ら  第1章

メール

あれは忘れもしない8月のある日 初めてスマホを買ってもらって、しばらく経った頃、一つのメールアドレスからメールが来た 「1月23日 今日は初めて食べた」 それには驚いたが、迷惑メールだと思い無視をした しかし、それからも定期的、週に3から4回の頻度で連絡が来た 「2月17日 今日は川に行った」 「2月3日 今日は何もしなかった」 このように日記のような感じだが、時系列はバラバラだし内容も薄いものだった しかも、理由は分からないがメールアドレスを一つだけではなく、複数使い分けて送ってきた 「5月27日 今日は散歩をして石を見つけた」 だけど送ってこられるのが怖くなって、「もう送ってこないで下さい」と送った 「3月4日 今日は昼寝をした」 それでもメールは送られてきた。本当に怖くなって少し調べると、相手が大学のメールアドレスも使っていることが分かった 相手が大学生だと分かったが勇気を出して、大学に連絡してみた 「分かりました、事実確認が取れたらまたご連絡いたします」 思ったより丁寧で嬉しかった。そして大学に連絡したら、それからメールは来なくなった それから数日後、大学から連絡がきた 「そのメールの方なんですが………数年前に事故で亡くなっていますね」 戦慄した、じゃああのメールは死人から送られてきていたのか? そう思っていると、またメールが来た 「6月72日 今日はトランプをした」 その時から、日付がおかしいメールが届いた 「3月111日 今日はお風呂に入った」 「5月86日 今日は転んでしまった」 そのメールに怖くなり、親に頼んでスマホを買い替えてもらうことにした そうして例のスマホを手放す最後の日 「8月0日 今日は死んだ」 これが実際起きた恐怖体験。え、脚色してるだろって? まぁ確かにしてるね。ただ…… ピロン あ、メールだ。ん? これ 今もたまに来るんだ、死んだはずの彼からね

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あの日あの時あの場所で

ピコピコ 「…………あー、また負けた! これ難しすぎるよー」 「……………ワッ!」 「ワッ! ビックリしたー………何すんだよ!」 「いやー、隙だらけだったからさ………それでまた負けてるのかい?」 「ウグ……しょうがないでしょ。難しいんだから!」 「アハハ! やっぱりまだまだ子供だね、そこの席変わってよ。私がやってあげる」 「えー、お姉さんにやれるの?」 「お姉さんじゃなくて“お姉ちゃん”ね」 「あんま変わらなくない?」 「いつか分かる時が来るよ、少年」 「………分かりたくないんだけど」 「アハハ! 素直で良いね、とりあえずやるから見てなよ」 「…………これで千円負けだよ(弱すぎない?)」 「ふむ、まだ余裕はあるがやめとこうか」 「………たくさん負けたのに平気なの?」 「私はキミと違って稼いでるからね。元手が違うんだよ」 「えー、ズルい!」 「そうか………ならキミが大人になった時、対戦で勝負しようか」 「本当⁉︎ それ忘れないでね!」 「あぁ、約束を守ることには自信があるんだ」 「じゃあ指切りげんまん」 「はいはい、仕方ないね」 「「嘘ついたら針千本、指切った!」」 「………ハァ……営業も疲れたな。でも転職したとしても上手く行くとは限らないし……」 テクテク 「………ん? よく見たらここ昔住んでた町か…………あのゲーム機まだあるかな」 「……あった。あの時のままだ………ちょっとやって行こっかな」 ピコピコ 「グッ、この……! あー、また負けたよ! やっぱこのゲーム難しいな」 「…………ワッ!」 「! ビックリした、なんだ……って貴方は⁉︎」 「随分とよそよそしくなったねー、お姉ちゃんは悲しいよ」 「…………」 「約束、守りにきたよ」 ピコピコ 「うーん、やっぱ久しぶりにやると操作がおぼつかないね」 「…………お姉さ…ちゃん。聞いて良いですか?」 「別に敬語は良いよ」 「………なんで10年以上経ってるのに姿が変わってないの?」 「いつか分かる時が来るよ、少年」 「もう少年って年じゃないよ………」 「相変わらず生意気な口は変わらないね」 「…………最近、上手くいってないんだ。仕事でもダメだし、恋愛もマトモにできないし」 K.O! 「あ、負けた……」 「…………バカだなぁ、少年。非常にバカだ」 「え、いきなり?」 「少年は私みたいにもっと自信を持って生きろ。昔のキミは負けたら泣いてまで噛みついてきたぞ」 「………もう一回」 「ん?」 「もう一回勝負!」 「…………良いね、その勢いだ」 「…………私の負けか」 「よっしゃあ! 久々に勝ったー!」 「おめでとう、懐かしい気分だったよ」 「うん、ありがとう! あの時の気持ちを思い出した気がする!」 「なら良かった。じゃあ私は去ることにするよ」 「…………また会えるよね?」 「あぁ、少年が強く望めば会えるさ」 「じゃあまた約束!」 「「指切りげんまん、嘘ついたら針千本、指切った!」」 「………頑張ってね」 「………うん!」 お姉ちゃんは僕の言葉を聞くと、お店の外に出て振り向いた 「少年! またな!」 「うん、またね!」 そう手を振ると、お姉ちゃんは手を振って笑顔を見せると、いつの間にか消えていた 「………さてと、頑張るとしますか!」 僕はお姉ちゃんに会えるのを待ちながら、また一歩踏み出した

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喧嘩道 番外編

番外編 ブラックシュガー きぃ「………マカロン、タルト、ケーキ! 本当に連れてきてくれてありがとうございます!」 蓬「いや、大丈夫だよ。僕も一緒に行く人がいなかったからね」 蓬のバイト終わり−−− 蓬「………ふぅ、これで全部終わりか。店長、もう上がらせてもらいます!」 店長「あぁ、ちょっと待って。今大丈夫かい?」 蓬「一応大丈夫ですけど……何ですか?」 店長「実はそこの商店街の福引でケーキバイキング券を2枚引いたんだが、私はあまり甘いのが好きじゃないし行く人が居ないからあげるよ」 蓬「あ、ありがとうございます!」 店長「実際どう? 今気になってる人っているの?」 蓬「まぁ………一応いますね」 店長「良いねー、青春してるねー!」 蓬「(……って言われてきぃちゃん連れてきたけど、喜んでくれたみたいで良かった)」 きぃ「ん? 私の顔に何か付いてますか?」 蓬「ただ、美味しそうに食べるから見てただけだよ。でもほっぺにチョコが付いてるね」 きぃ「え、あ、ホントだ! と言うか、蓬くんは食べないの?」 蓬「あぁ、僕はちょっと体重気にしてるからあんまり食べないね」 きぃ「今のままでもかなり痩せてると思いますけどねー」 蓬「でも弓道やってるから痩せた方が有利なんだよね」 きぃ「へぇー、私も痩せてみたいですねー」 蓬「………ならやってみる?」 きぃ「え?」 きぃ「………わー、こんな場所来たことから無いから新鮮だよ」 蓬「まぁジムなんて気軽に通おうとはならないよね」 きぃ「結構昔から通ってるの?」 蓬「うーん、半分合ってるかな。通い始めたのは最近だけど、ここの店長が知り合いだから色々手伝いで来てたんだよね」 きぃ「なるほど! じゃあ器具の使い方知ってるの?」 蓬「まぁある程度は説明できると思うよ」 きぃ「ならご指導お願いします、先生!」 蓬「なんかむず痒いね…………」 きぃ「………ハッ、ハッ、ハッ」 蓬「うん、その調子だよ。ランニングマシンの速度をもう少し上げても良いかもしれないね」 きぃ「はい! なら5キロくらい早くしようかな……」 蓬「その位が丁度良いかもね……ってそのボタンは違う!」 「50キロアップします」 きぃ「え、う、ウワーー‼︎」 ドシャーン きぃ「いてて…ってあれ痛くない?」 蓬「………クッションになれたようで何よりだよ」 きぃ「わ、ごめん! 変なボタン押しちゃった……」 蓬「大丈夫だよ、思ったより軽かったしね」 きぃ「……それだと褒められてるのか、貶されてるのか分かりませんよ」 蓬「あー、ごめん! 褒めてる、褒めてる!」 きぃ「………ンギィィー!」 蓬「凄い声出てるね………でもこれで30キロだよ」 きぃ「結構キツイね、これ……!」 蓬「まぁ初めはね………(というか、お腹出てる…)」 きぃ「? どうしました?」 蓬「い、いや、何もないよ」 きぃ「……ふーん、もしかしてお腹見てました?」 蓬「……ご、ごめん」 きぃ「別にもっと見ても良いんですよー?」 蓬「そんな訳にはいかないよ!」 きぃ「ふーん、強情ですねー」 蓬「逆に見てほしいの?」 きぃ「うーん…………想像にお任せします!」 蓬「その返事が一番悩むな……(どっちだ……?)」 きぃ「………………」 きぃ「いやー、結構汗かきましたね!」 蓬「そうだね、僕もトレーニングしてたから汗べっとりだよ」 きぃ「本当にシャワールームあって良かったね!」 蓬「うん、あそこは綺麗な方らしいね」 きぃ「へー、それは良かったです!」 蓬「本当に最近は暑いから汗も良くかくよ………」 きぃ「…………でも色々ありましたよね」 蓬「ん? 何が?」 きぃ「だって撃くん達と会う前は普通の高校生活だったのに、会ってから世界まで救っちゃった。本当に波瀾万丈だったよね」 蓬「そうだねー、今思い出しても夢じゃないかって疑っちゃうよ」 きぃ「ほっぺ引っ張る必要ありますか?」 蓬「ハハハ! 随分と原始的な確かめ方だね」 きぃ「…………じゃあ目を閉じてくれますか?」 蓬「ん? 何か分からないけど閉じたよ」 チュッ その時、蓬の頬に柔らかい感触があった 蓬「え⁉︎ え……⁉︎」 きぃ「アハハ、流石に驚いてますね!」 蓬「え、こ、これって………!」 きぃ「順番を間違えちゃいましたね………黒川蓬くん、大好きです!」 蓬「はい…………⁉︎」 きぃ「じゃあ今日はありがとうございます! じゃあまた明日ー!」 蓬「あ、ちょ………えー!」 数日後の特別生徒会室にて−−− ガラガラ 零「お疲れー……ってきぃちゃんしかいないか」 きぃ「あ、お疲れ様ー! まだ皆来てないね」 零「じゃあ待つとしようか………そういえば、最近なんか蓬の様子が変なんだけど知ってる?」 きぃ「あー、実はほっぺにキスして大好きって言ったんだよね」 零「え⁉︎ 中々大胆なことするね………だから様子も変だったのか」 きぃ「なら良かった!」 零「? まぁとにかく、今は返事待ちなの?」 きぃ「うん、そうだね」 零「でも驚いたなー、そこまで蓬のこと好きだったんだ」 きぃ「うーん………好きとはちょっと違うかな?」 零「え? 好きだから大好きとか言ったんじゃないの?」 きぃ「大好きは大好きなんだけど………可愛いって言った方が正しいかな?」 零「…………可愛い?」 きぃ「うん、だって私の行動一つで喜んだり驚いたり悲しんだりする。蓬くんには私の手のひらの上で踊っていてほしいんです」 零「……………」 きぃ「良くないですか? 他のところに逃げちゃうより手のうちに置いといた方が安心でしょう?」 零「…………もし逃げたらどうするの?」 きぃ「そうですね、その時は手をパタンと閉じて逃げられないようにするか………食べちゃいましょうか」 零「た、食べる……⁉︎」 きぃ「………気になりませんか? もし彼の、例えば瞳を取って目の前で食べたらどんな反応をするのか………怒るのか恐怖するのか」 零「……………」 きぃ「まぁこれは流石に冗談ですけどね!」 零「あ、アハハ……」 きぃ「でも普通だと思いません? 気になる人には自分だけを見ていてほしい。その逆に、私も気になる人をずっと見ていたい………これって何もおかしくない普通の恋じゃないですか?」 零「………確かに……そう…なのかな」 きぃ「えぇ、零ちゃんも撃くんに同じ思いじゃないですか?」 零「! それは……」 きぃ「私から一つアドバイス! 自分の中にある欲望には素直になることが一番だよ!」 零「………なるほど」 ガラガラ 縁「お、きぃと零か」 きぃ「あ、お疲れ様です!」 縁「あぁ、それでいきなりだが階段下にある段ボールを移動させてくれないか?」 きぃ「分かりました! じゃあまたね、零ちゃん」 零「うん、アドバイスありがとう!」 縁「…………何言われたんだ?」 零「それは乙女の秘密だよ」 きぃ「ふぅ、これで終わりかな………ん? あれはもしや………蓬くーん!」 蓬「え、あ、きぃちゃん⁉︎」 きぃ「うん、依頼されて段ボール片付けてたんだよね。蓬くんは?」 蓬「僕はちょっと校舎を散歩してたね……」 きぃ「そうだったんだ」 蓬「………良し………きぃちゃん、話を聞いてくれる⁉︎」 きぃ「……うん、良いよ」 蓬「…………あの時の返事だけど………ごめん、待ってほしい」 きぃ「……………」 蓬「多分、今付き合ったら色々変になるかもしれない………だから、高校卒業まで待ってほしいんだ」 きぃ「………うん、分かった! 私はいつまでも待つよ!」 蓬「あ、ありがとう! 本当に身勝手でごめんね……」 きぃ「ううん、しっかり気持ちを聞けただけで嬉しいよ!」 蓬「えへへ、なら良かった!」 きぃ「……!」 「………可愛いって言った方が正しいかな?」 「自分の中にある欲望には素直になることが一番だよ!」 きぃ「………蓬くん、ちょっと左手の薬指出してくれる?」 蓬「? なんか分からないけど良いよ……はい」 きぃ「ありがとう、そのままで……」 そう言うと、きぃは蓬の左手を口に持っていき………薬指に噛み付いた 蓬「イッッツ⁉︎ き、きぃちゃん⁉︎」 きぃ「………ハァ…ハァ……(……指に私の噛み傷が……)」 蓬「き、きぃちゃん? 目が怖いけど大丈夫……?」 きぃ「………フフ……(あぁ、怯えてるのも可愛い……やっぱり欲望には素直なのが恋なんだ!)」 蓬「お、おーい………?」 スッ 蓬「……え?」 きぃ「………お返し、私の指も噛んで良いよ」 蓬「………いやいや、そんなことできないよ!」 きぃ「これはお返しなんだよ? 噛んで?」 蓬「………」 きぃ「噛んで」 蓬「……う………」 蓬は気圧されて、オドオドと左手を口に持っていき………薬指を優しく噛んだ 蓬「……こ、これで良い?」 きぃ「……………うん! いきなりこんな事言ってごめんね。痛くなかった⁉︎」 蓬「だ、それは大丈夫だよ」 きぃ「なら良かった! でも本当ごめんね………そうだ、帰りにクレープ奢るから一緒に帰ろ!」 蓬「う、うん!(なんか分からないけど治ったみたいで良かった)」 きぃ「じゃあ行きましょー!(………今はまだこれで大丈夫。今は、まだ)」 番外編 ブラックシュガー

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喧嘩道 番外編

佐々木航太郎の心霊事件簿 後書き

これにて佐々木航太郎の心霊事件簿、及び青春道世界線が全て完結しました! 非常に長く続いて自分でも驚きましたよ。遅くなりましたが、これからは裏話や青春道のことなどを書いていきます! 佐々木航太郎の心霊事件簿・裏話 初めは、心霊に立ち向かっていく物語を書こうとしてたんですけど思い付かなくてファンタジーのカテゴリにしました。あと、李も本来1回だけの登場のつもりでしたけど重要キャラになりました。 そして、この心霊事件簿の世界は青春道の世界とは少し違い、佐々木が逮捕された所までは同じですが、蛍の脱獄を断ってしっかり罪を償った世界線だと考えています。そのため、逮捕されたところで佐々木達と撃の関係は終わったので、学園喧嘩道の零を壊す下りはありません。因みに、この世界の佐々木も普通に識とは知り合いです 佑月一作 佐々木の弟子役として登場したキャラで、最後の最後まで面倒くさくて名前は考えてませんでした。でもトラブルメーカーだったり、佐々木を鼓舞したりと良い役にできたと思ってます。最後には残した原稿を書き上げて、後世にまで受け継がれる作品を生み出しました。あと、佐々木賞ってのも作られました 岩戸唐十郎 唐十郎は佐々木と性格はほぼ真逆で愉快な感じに作りました。職業は漫画家でアクション系統を書いています。因みに、佐々木とは小学生からの付き合いです 李丹(龍秋天) このキャラは最初、心霊への案内役として作りましたが、進路変更して佐々木の旧友になりました。なぜ李で佐々木の前に出たかというと「死んで暇だなー。そうだ、佐々木たちをこっちに招けば暇じゃなくなる!」となったので佐々木の前に現れました。佐々木たちを恨んではいませんが、記憶を無くしてた事には驚いたらしいです。なので過去に行きたいって言われた時は来たんじゃないかと思ったらしい 白巳 元人食いの大蛇。ずっと前から生きていて侍に斬られたのは本当です。最初は佐々木と合体して穢虎みたいになるつもりでしたが、普通に相棒枠になりました この世界の撃たち 撃たちはあまり変わりませんが、零は蛍が初期化してしまいました。しかし、初期化して壊す直前に撃たちが間に合い、何とか追い払いました。零は初期化されたものの撃たちにより記憶を取り戻していきました この世界 先ほど青春道世界とは少し違うと書きましたが、小説でも書いたように心霊事件簿世界は青春道世界のパラレルワールドになっています。そのため、佐々木の物語は大きく変化しました。青春道の時は他人のために、心霊事件簿の時は自分のために佐々木は生きました そんなこんなで佐々木航太郎の心霊事件簿完結致しました! 一応、新シリーズは考えていますが、撃たちとは完全に別キャラクターで進んでいくと思います。その時にも見ていただけると幸いです! ここまで見てくれてありがとうございました!

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友へ送る

我が友へ 初めは、あまり気にも留めてなく名前だけ知ってるくらいだった だが、あの旅行や出掛けた時に大きく変わった それから何やかんや2年位も経っちまった 人生何があるか分からないものだ そこから色々出掛けたり、遊んだり話したりした 色々する時間を失って、モヤってした事もある だけど、それ以上に楽しい思い出ができた 短いけど伝えたい、ありがとう。我が友よ そしてこれからもよろしく頼む 友へ贈るこの言葉

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未来への終電

今日も夜が来て、終電が来る 「パァーーー」 僕は瞼を閉じて、電車を待つ しかしたまに思う このまま終わってしまえば楽なのか 「パァーーーー‼︎」 電車が近づいてくる もういっそ…………………… なんて日もあった、懐かしい記憶だ 人間は負けながらも、勝つために進んでいく 「プシュュュー、〇〇駅、〇〇駅、終電です」 終わる一歩じゃなくて、進む一歩を踏み出すかな そうして僕は明日に向かうために終電に乗る

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