神風特別攻撃隊
目が覚めると…地獄が広がっていた。
りゅうと!起きなさい学校遅れるよ!
僕は「今行く〜」と言って重たい足を
引きずりながら台所へ向かう。
今日は何だか体がいつもより重い。そして頭も少し痛い…外は暑く、蝉も鳴いている「はぁー学校めんどくさいなぁ」と言いつつも学校へ向かう。学校に着いたらまず屋上に行き時間を潰す。正直学校なんて無くなればいいと思っている。
別に学校が無くなったて死ぬ訳じゃない
そして二時間目を過ぎた頃…「やばい。寝過ぎた!それにしてもさっきより頭が痛くて寒気もする」その足で保健室に向かった。体温計で熱を測るといつもより高い。今日は早退することにした。
両親は共働きだから迎えに来れず歩いて家まで帰る。家に着いたらそのまま自分の部屋に行き布団に横たわって眠りについた。起きると外は暗く夜になっていたぐっすり寝たおかげか体がスッキリしている。僕は外の空気を吸いたくなって
散歩に出かけた。「やっぱり夏の夜に
散歩するのは気持ちいいな、少し遠回りして帰ろう」そう思い目の前のパン屋さんの細くて暗い道を通る「こんな道あったけ」もうすぐ道を出る所で明るい光が目の前で大きく光った…、そしてまた頭が痛くなって、戻ろうとして歩き始めたら倒れてしまった。僕が目を覚ますと
まだ外は暗く、時間もまだそんなに
経っていないようだった。起き上がり
家に帰ろとしたら目の前で赤い光が蠢いていた。その方向に進んでみると…
僕は目の前の光景に頭が真っ白になった
「え…何これ…お父さん、お母さん。」
そこに広がっていた光景はとてもこの世のものとは思えない光景だった。人が燃えていて「熱い…!助けて…!」と叫んでいる人もいれば子供が泣いていて、
周りの家も燃えていた。頭の整理が付かずにとにかく自分の家まで走った。
家があるところに着いたがそこには僕が住んでいる家がなく…ボロボロの古い平家が燃えていた。「あれ…僕の家は…
お父さんとお母さんは…どこに居るの
もしかしてどこかに避難したのかな」
頭の整理が追いつかない。それでも
確かな事はここは僕の知っている町じぁないって事。思い返してみれば走っていて凄い違和感があった…街並みが変わっているように思えた。「あー!わからない!どうしてこんなことになったんだ、
ここは何処なんだ。僕の家はどこに行ったんだ。」でも頭が真っ白になっても
街並みが変わっていたとしても道は
間違えてないはず…いや、間違えてない。
僕は目の前のボロボロの平家をぼーっと見ているしかなかった状況を整理しようとしても出来ない。どうすればいいか
わからなかった。突然耳がキーンとした
そしてドカーン!と大きな音が鳴った
すると遠くの方から声が聞こえたので
声のする方まで行き僕は叫んだ
「お父さん!お母さん!」けれど返事が返ってこない。すると左の方から
知らないおじさんが僕に向かって叫んでいる…「おーい!兄ちゃん!早くこっちに来い!敵が回ってまたこっちにやってくるぞ!」僕は「敵?なんの事…」そう思いながらもおじさんの所へ走った。
するとそこには小さなトンネルみたいなのがあった。まるで教科書に出てきた
防空壕みたいだった。するとおじさんが
「早く入れ!中の方が安全だ」そう言われて僕は言われるがまま入って行った。
中には僕の他にも人がいて老人や赤ちゃん僕と歳が変わらなそうな人もいた。
そしてまた大きな音が鳴り始めた。
とにかくお父さんお母さんのことが心配だった。だが座って少し落ち着いたのか
僕は寝てしまった。起きると周りの人も寝ていた。すると「おう。起きたか、
もう空襲は止んだみたいだ」と昨日の知らないおじさんが声を掛けてくれた。
僕はそれに対して思わず「空襲?何を言ってるんですか?」と言ってしまった。
そしたらおじさんがびっくりしたような顔で僕をみている。「兄ちゃん何言ってんだ。昨日の光景を見ただろまわり一体は燃えていて敵機だって飛んでただろ
冗談はよしてくれ」と笑いながら言われた。僕は冗談を言ったつもりもなければ本気だ。だっておかしいよ。倒れて
起きたら一体は燃えていて…確かに
飛行機が飛んでいる音はしたけれど
空襲だったり敵機って言ったり意味が
わからない。これじゃまるで戦争じゃないか…「ん?戦争…おじさん!今何年ですか!そして今日は何月何日ですか!」
まさかとは思ったがおじさんに聞いた。
するとおじさんは答えた。
「何を言ってるんだい、今は1945年今日は4月15日だよ。」
僕は聞き覚えがある年だと思った
「1945年って言ったら終戦の年?たしか
8月15日に天皇が終戦を告げる放送をするんだっけ」
でもなんで僕は今1945年にいるのだろうまた頭の中がごちゃごちゃになった。
と言う事は今僕がいるこのトンネルみたいな所はもしかして防空壕?なのか…
僕は一回落ち着いて考えることに
した。昨日走っていた時街並みが違うふうに見えたのも僕の家が見つからないのもここら辺一体が燃えていたのも
とてもこの世のものとは思えない光景も
今が1945年だとしたら納得が行く。
それでも僕は混乱していた
「そしたら昨日倒れて目を覚ました時に
タイムスリップしたって事か…?」そんな有り得るわけがない。そう思いながらもおじさんが空襲は止んだって言っていたから防空壕から出て外の様子を見ることにした。僕は外の光景を見て一瞬で
ここが今戦時中なんだと本当に1945年に来たことを疑いもなく信じた。
家があった所は燃えてさら地になっていて黒い大きな塊がいくつもある…
僕はとにかく言葉が出なかった、
そして腰が抜けたように座り込んでしまった僕は今すぐ元の時代に戻りたかった。かと言って戻れる方法なんて知らないし…どうすればいいかわからなかったするとおじさんが「兄ちゃんお家はどうしたんだい?もしかして燃えちゃったのかい?そしたら良かったらうち来るか?幸い家は燃えなかったから。」そう言われて行き先もないのでおじさんの家にお邪魔させてもらうことにした。おじさんの家は周りの家よりも少し広くて焼け跡ひとつなかった
家の中から女の子が出てきて
「お父さん生きてたんだ!良かった…
私別の防空壕にいたの…逸れたから
心配してたんだよ…本当に良かった…」
「さくらごめんなぁ…探したんだが
もうあちこちに火が回ってきて…」
「いいんだよ!生きていてくれただけで
私はそれでいい…」
この女の子はさくらさんって言うのか
同じ歳に見えるなぁ…このおじさんの
娘さんか。良かった親子再会できて
抱き合ってる様子を見て僕まで嬉しくなった。
「お父さんこの人はだれ?」
「防空壕で一緒だったんだよ、まだ名前を言ってなかったね俺はさとしだよ
こっちは娘のさくらだよ仲良くしてやってくれ」
「私はさくら!よろしくね!」
「りゅうとです。
よろしくお願いします。」
「りゅうとって言うんだ!いい名前だね
りゅうとは何歳なの?」
「18です…」
「同じ歳じゃない!そんな固くならなくていいから気を遣わず話しましょ!
さくらって呼んでね」
「うん…わかった…よろしく!」
なんだかさくらと喋って少し心が落ち着いた…それと同時に嬉しさもあった。
「りゅうとくんは家はどこら辺なんだい?両親はどうしたんだい?」
「なんて答えよう…実は…倒れて気を失ってあまり覚えてなくて…親もどこに居るかわからないんです…」
「そうだったのか…それは心配だね…
もしりゅうとくんが良ければ家に寝泊まりするといいよ、家は娘と二人だし
りゅうとくんさえよければずっといたらいいよ、さくらもいいよな?」
「うん!私も賛成!これからよろしく!」
なんて優しい人達なんだ…空襲が起きて
二人も辛いはずなのに…
「はい…ありがとうございます。
よろしくお願いします!」
思わず涙を浮かべながら言ってしまった。
それから僕はさとしさんの畑作業を手伝ったりして毎日過ごしていた、正直まだまだ慣れないけど、さとしさんも
さくらも優しくて毎日楽しい
ただ甘い物が食べたい甘いジュースが
飲みたい…当然そんなものはない…
砂糖だって高級品だ…
僕がいた時代は砂糖なんてすぐに買えるし甘い物だってなんでもある。
でもこの時代は砂糖はおろかお米でさえも高級品だ。僕がいた時代はなんて恵まれていたんだろう…そんな事を毎日のように考えている。
こっちにきて2週間が過ぎ…
「りゅうと〜!今日の夜空いてる?」
「うん!空いてるよ!どうしたの?」
「りゅうとに見せたいものがあるの!
じぁまた夜に!」
「あ、うんわかった」
何を見せてくれるんだろう…僕は楽しみだった。さくらが誘ってくれることなんて初めてだ。僕は嬉しかった…
夜になりさくらと夜道を歩きながら話す
「さくらは毎日さとしさんの手伝いとか
おつかい行ったりしてるけど学校は
行かなくていいの?」
「学校!?行けないよ!学校なんて
小学校は行けたけど高等女学校なんて
わずかな人しか行けない…小学校卒業してからはずっとお父さんの手伝いしてるよ」
僕の時代は学校なんて行くのが普通だったしなんなら面倒くさいとも思った
なのに戦時中は行きたくても行けず
学びたくても学べない。なんなら戦争の手伝いをさせられる。僕の時代では信じられない…
「りゅうと!着いたよ!これを
見せたかったの!」
そこには月明かりの下に桜の木が広がっていた。
「綺麗…燃えなかったんだ」
「うん!ここは燃えずに残ってくれた
すごく綺麗でしょ。りゅうとにずっと
見せたかったんだ!」
「さくらみたいにこの景色は綺麗で
美しい…」
思わず口に出してしまった。
さくらは美人で、強くて、いつも笑っていて……さくらと一緒にいる時間が
一番好きだった。そんなさくらが好きだった…とは言え思わず言ってしまって
お互いに黙り込んでしまった…
「…………………。」
そしてさくらが
「りゅうとも特攻に行くの…」
「え…特攻…?」
そうだ考えもしなかったが今は戦時中だ
特攻隊だって聞いたことある。
敵の所へ突っ込むんだっけ…
でもまだ徴兵対象ではないはず…
「私のお兄ちゃんは特攻に行って死んだんだ…周りは名誉な事だとか言うけど
私にはわからない…なんで自ら死にに行くのか…」
確かにそうだ…僕も歴史の授業を聞いて
さくらと同じ事を思っていた…でもこの時代に来てから考えが変わった…
よく兵士の人達がさとしさんに向かって
挨拶してるのを見たりした。その時に
さとしさんから
「あの方達は今からお国のため家族の為死にに行くんだ…」
それを聞いた時胸が苦しくなった…
あんなに笑顔で挨拶してた人達が
今から死ぬなんて考えられない…
でも特攻がなかったら日本はどうなっていたんだろう…と考える
「さくら…こんなに綺麗な桜を見せてくれてありがとう。僕はいつまでもさくらと一緒にいたい。」
「私もよ…絶対に死なないで!自分の
命を大切にして。」
さくらは涙ながらそう言った…
その夜僕はあまり眠れなかった。
そして、こっちにきて三ヶ月が過ぎようとしていた…ここの生活にも慣れ始めて少し余裕が出てきた。あの日の夜以来
あまりさくらとは喋っていない…
今日もいつものようにさとしさんと
畑に向かう。すると…
「カンカンカンカン!空襲ー!」
鐘がなり、空襲ー!と大きな声が聞こえた。
「りゅうと!防空壕へ向かうぞ!」
さとしさんが大きな声で言った
「でもさくらが…!さくらも一緒に!」
「大丈夫きっと橋の下に行っているはずだ。さくらには近くに防空壕がない時はそこに行けと言ってあるから。」
さくらはこの日隣町まで米を貰いに行っていた。さとしさんと僕は山の方に
ある防空壕に入った。そこには怪我人がいっぱいいた…「痛い痛い」と叫んでる人や空襲の際火傷で皮膚が爛れてしまっている人達がいた。僕は怖い気持ちよりもさくらが心配だった…すると奥の方で
「隣町はもう全部焼けてしまったらしい」と言っている人が居た。僕は居てもたっても居られなくなり
「おい!りゅうとどこに行くんだ!」
僕は振り向く事なく走っていった
一体は焼け野原で来た時を思い出す
「さくらー!さくらー!」必死に声を出すが煙で喉が痛い。僕は畑の方に走ったすると倒れているさくらが居た。
「さくら!大丈夫か!聞こえるか!」
「お兄ちゃん…りゅうと…」
さくらはギリギリ意識があるようだった
僕はさくらのことをおんぶをし防空壕に向かった。まだ空には敵機が飛んでいるいつ爆弾が落ちてくるかわからない…
「さくら!もうちょっとだから!」
なんとか無事に防空壕に入れた。
さくらはまだ意識が朦朧としている。
しばらくして「お父さん。りゅうと。」
「さくら!目を覚ましたか!りゅうとがここまで運んでくれたんだ。」
「お父さんごめん…私気を失って…
もらってきたものも…全部…」
「何を言ってるんだ!命があればそれでいい!」
僕は涙を流しながら
「さくら…本当に良かった…良かった…」
「りゅうとありがとう…。」
僕はホッとした。涙を流したのもいつぶりだろう…
次の日の朝。防空壕の外はここに来た時と同じ光景が広がっていた。今回の空襲は前よりも規模が大きかったらしく前よりも残っている家が少なかった…
幸い僕達の家は前と同じく残っていたものの破損が酷かった。
その日は家の修理で忙しかった。
夜になり、僕はさくらのことを散歩に
誘った。
「さくら…少し外に歩きに行かないか。」
「うん!ちょっと待ってて!」
そう言うとさくらが奥の引き出しから
何かを取り出して来た。
「ごめんごめん!行こうか。」
やはり夏の夜に歩くのは気持ちがいい。
これはどの時代でもそうなのかも知れない。
「さくら、さっき何を取って来たの?」
「あー!これね!これはねお兄ちゃんからの手紙なんだ。お兄ちゃんが出撃する前に書いた最後の手紙。」
僕は思い出した。さくらのお兄ちゃんは特攻に行って死んだ事を。さくらは
その手紙を見せてくれた。手紙には
「父母様今まで育ててくれてありがとう
ございました。さくら一緒に遊んでやれなくてすまない。お兄ちゃんは明日
出撃します。今度生まれ変わってもまた、四人で暮らしたい。春に桜が咲いた頃また会いましょう。行って来ます。」
僕は今にも溢れそうな涙をぐっと堪えた
「さくら大切な手紙を読ませてくれて
ありがとう。」
「うん!お母さんは私を産んだ時に
死んでしまったけど、お母さんと
お兄ちゃんは今でも私のことを空から
見てくれてるって思ってる!だから
今は寂しくない、しっかり前を向かないと!」
「さくらは強いな、同じ歳だと思えないよ」
「まぁ寂しくないって言ったら嘘になるけど笑…」
「だからりゅうとにいつまでも一緒に居たいって言われてすごく嬉しかったんだ!りゅうとに最初会った時は身なりが変わっていて不思議に思ったけど
今は家族って思ってる!」
そう言われて僕は最初にさとしさんや
さくらと会った時のことを思い出していた。僕はいつか元の時代に戻るのかな…そうなったらちゃんとさとしさんや
さくらに別れを言えるだろうか、と言うか戻る時はどんな感じなんだろう…
まだここに居たい…僕のお父さんやお母さんにも会いたいけど、さくらともずっと一緒に居たい…僕はさくらに手紙を
書くことにした…
そして日々は過ぎ終戦の日が近づいていた。「もうすぐ終戦だ…やっと戦争が
終わるんだ。まさか自分が天皇の終戦
放送をリアルタイムで聴けると思わなかった…戦争が終わればさくらとさとしさんで海とか行きたいなぁ」
そして迎えた終戦の日…その日は起きた時から体が重くて頭も痛かった…
さくらがやって来て、
「りゅうと!放送始まるよ!」
さとしさん、さくらと一緒に放送を聞いた、そして確かに終戦の放送だった。
戦争が終わったんだ、すると僕は
目の前が真っ暗になり倒れた…
微かにさくらの声が聞こえる
「りゅうと!りゅうと!どうしたの!
起きてよ!ねぇ!」
そして目が覚めると、天井が白くて窓から光が差し込んでいた僕は元の時代に戻って来たんだ…
「りゅうと!良かった目が覚めて…!」
「お母さん…お父さん…」
そこにはお父さんとお母さんと看護師さんが居た。やっぱりさとしさんとさくらに別れを言えなかった…手紙を読んでくれてるといいけど。
「さくら!今すぐにお医者さん呼んで来るんだ!ん?何か胸のところに紙がある」
「紙?もしかして手紙…」
私はその手紙を手に取って読んだ。
「さくら、さとしさんへ。
さくらとさとしさんにはお世話になってばっかでそれでも嫌な顔せずさとしさんはいつも笑わせてくれて毎日楽しかったです。ありがとうございました。
さくらはいつも笑っていて強くて…
さくらを見ていると元気が出る
僕はさくらが好きだ、大好きだ、、
直接言えずごめん。いつまでもさくらと一緒に居たかった。出会えて良かった
僕はいつまでも桜の木の下で桜を見ながら君を想ってる
「さくら君ありて愛」」
「バカ…直接言いなさいよ…私もりゅうとが大好き。愛してる。」
月日が流れ、元の時代に戻ってから
二年が経った…ずっとさくらの事が頭にある。あれからどうなったんだろうとか
夢にもさくらが出て来て一緒に桜を見てる夢をみる。いつも起きたら涙が出てる
今日は母の実家に行く日だった、母の実家はものすごく田舎だ。だけど僕は好きだ。空気がおいしくて自然が溢れている
母の実家に着いた。僕は畳の上に寝転がりテレビを見る、テレビでは特攻隊の事が放送されていた、さくらやさとしさんを思い出す。思い出すたび胸が苦しくなる…すると母が来て
「特攻隊と言えばあなたのひいおじいちゃんも特攻に行ったのよ。特攻でお国の為に死んだのよ。」
僕はびっくりしたまさかひいおじいちゃんが特攻隊員だっただなんて…
おばちゃんが手紙が確か押し入れに
あるはずと言っていたので、僕は
押し入れにあったものを全部出して探した。長い間探してやっと手紙が出て来た
その手紙を読むと…
「え…うそ…」そこには
「父母様今まで育ててくれてありがとう
ございました。さくら一緒に遊んでやれなくてすまない。お兄ちゃんは明日
出撃します。今度生まれ変わってもまた、四人で暮らしたい。春に桜が咲いた頃また会いましょう。行って来ます。」
さくらのお兄ちゃんの手紙と同じだった
僕は涙が溢れて恥を忘れて泣きじゃくった。さくらのお兄ちゃんは僕のひいおじいちゃんだったんだ……
「さくら…会いたいよ…」僕はこの手紙をおばあちゃんから貰った。さくらへの
思いが一気に溢れ出した。母の実家から家に帰る時もずっとさくらを考えていた
家に帰った次の日外は桜が綺麗に咲いていて一人で花見に行くことにした。
そして近くの河川敷には長く綺麗な
桜の道ができている。歩いていると
一人で桜を眺めている女性がいた
何処かさくらに似ていて思わず声を掛けてしまった
「さくら!…あ、すいません。」
女性はびっくりした顔でこっちを見ていた
「知り合いに似ていたもので思わず…
すいませんでした。」
「なんで私の名前を知ってるんですか」
「え…」
「私さくらって言います」
この人とは初めて会った気がしなかった
「僕りゅうとって言います
急にすみませんでした…」
「いえいえ。りゅうとさんって言うんですねいい名前ですね!」そしてさくらさんはニコッと笑った
「りゅうとさんは桜好きなんですか?」
「はい!桜好きです。見てるとホッとするんです。」
「一緒です!だから自分の名前結構気に入ってるんですよ。桜を見ていると何か忘れてる大切な事、大切な人とかを
想い出せる気がするんです」
その時大きな強い風が吹いた。
僕はあの時代で過ごした日々を思い出した。
「さくら…もう絶対離れない。さくら
とずっと一緒にいる…さくら愛してる」
この日桜を見ながら一緒に散歩した。
神風特別攻撃隊の証を忘れてはいけない
「君ありて愛」
最後まで呼んでいただきありがとうございました。