ササキ ハレル(笹木)

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ササキ ハレル(笹木)

小説で売れてみたいなー

樹になれないな。ボクは

辺り一面真っ白。夢? そんな中 木が泣いている。 降ってくるのは涙。 いや、違うな。あれは、 ボクの思い出、? 散った薔薇の花で埋め尽くされた 地に膝をつけた。 「元気な男の子ですよ!」 「オギャァ オギャァ」 「私たちの子よ。名前はリョウ」 「俺たちの家族。守っていこうな。」 お母さん、ボクはこんなに泣いたんだね。 「ねぇ、!今日はリョウの誕生日なのよ!」 「仕事が入ったんだ。仕方ないだろ!今度やればいいだろ。」 あぁ。いちばん古い記憶だ。 1歳の誕生日、結局やらなかったっけ。 この時はまだ幼いからなんで、お母さんが怒ってるのか分からなかった。 次々と涙という名の思い出が降ってくる。 まるで雪のように。 「痛いよぉ!!」 「あらあら!大変、痛いの痛いの飛んでけーー!」 「まま、痛くないや」 「ままは魔法使いなのよー」 「凄いな。ままは!」 ボクは幼稚園までお母さんが魔法使いだと信じてたな。 「妹のヒヨリよ」 「ボクに妹?やったー!!!」 ボクが3歳の時、妹ができた。 ボクがお兄ちゃんになった瞬間だった。 不思議だな。ボクの視界がぼやけてるや。 服に雫が垂れちゃった。 5歳の誕生日か。 家族で遊園地に行ったな。 ヒヨリが熱出して大騒ぎだったっけ。 ボクは大泣きだったな。 でも、父さんがトミカを買ってくれた。 今でも持ってる。うちは貧乏だったからな。 「これがランドセル?かっこいい!どう?ぱぱ!まま!かっこいい?」 「とても似合ってるわよ!」 「あぁ。カッコイイぞ。」 「お願い。どうしても新品のランドセルをリョウに買ってあげたいの」 「わかってる。なんとかする。」 両親とも、ボクのために。 「ほらほら、こっち向いてー!はい、チーズ!あー、ヒヨリ! パシャ」 これが入学式か。行きたくないって泣いたっけ。無理やり連れて行かれたな。 さぞ、大変だっただろうな。 小4か? 「本当にごめんなさい」 なんで母さんが謝ってるんだっけな。 そうだ。ボクが濡れ衣を着せられて、 友達に暴力を振るったことになってたんだ。 母さんは泣きながらボクにビンタした。 父さんもボクに激怒、教育を間違えたと自分を責めてたな。 濡れ衣なのにな。なぜボクは主張しなかったんだろうな。 いや、主張はした。先生にも両親にも。 でも認めてくれなかった。 そこからボクは人が嫌いになった。 学校でも虐めたやつだと、蔑まれ、 いじめられた。ボクはなにもしてないのにな。 もう、やめてくれ。 これ以上泣かないでよ。木。 思い出しちゃうじゃんか。 イジメは中学まで続いた。 中学の制服だ。 袖を通したのは6回だっけ。 なのにボロボロじゃないか。 父さん、母さん、ヒヨリ?、 なんで、泣いてるの? 「リョウ、なんで、、なんで、、、」 ボクならここにいるよ。 「なんで、、、、なんで、、、」 あぁ。そうだ。ボクは自殺した。 イジメに耐えきれず、親も先生も頼れない。だから死ぬしかなかった。 胸が痛い。かなり。かなり。 「リョウ、聴こえる?ままよ。 愛してるよ。いつまでも。いつまでも。」 「リョウ、死ぬんじゃねぇよ。なにしてるんだよ。。。」 「兄ちゃん、ありがとう」 やめてよ。いまさら。 死ぬのを後悔しちまう。 家族不孝をしてしまった。 ごめんよ。父さん、母さん、ヒヨリ。 愛してる。 ずっと見守ってるから。 だから、わらって、ね ボクはそばにいるから、 ------------------------------ 木の正体は木の姿をした○○○。 だから樹になれなかったんだね。 何があっても死んではいけません。 生きていれば絶対いいことがあります。 悪いこともありますが、それを凌駕するほどのいいことがあります。それまで生きて。生きて。生きて。

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樹になれないな。ボクは