❥ 無 名 ¨̮ *̣̩

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 ❥ 無 名 ¨̮ *̣̩

む め い じ ゃ 無 い ヨ 、 な な だ ヨ 。 ゆ る く 投 稿 し て ま す 。 イ ラ ス ト は 自 作 だ っ た り 、手 を 抜 い てフ リ ー だ っ た り 。

君の声だけが聞こえた #1

谷崎 静琉 。 今年成人したばかりの社会人 。 ごく一般の人と比べて違う所は一つ 。 ソレは 、 耳が聞こえない事 。 子供の頃に大熱を起こして以来 、 私の世界から 音は消えていった 。 耳が聞こえなくなったのは 大抵の言葉のイントネーションを 覚えた頃だったから 、 ただ喋るだけならば 「 あぁ 、 普通の人だ 」 と思われるに違いない 。 音を失った時の記憶は鮮明に覚えていた 。 今迄当然の如く手の中にあったものが 、 指の隙間からこぼれ落ちていく感覚 。 あまりにもあっけなくて 、 神サマを信じる子には酷く冷たく感じられた 。 思考が止まって 、 何も出来なかった 。 気付けば何も聞こえなくなっている 、  恐ろしい程に 。 声をあげて泣いた 。 両親も泣いていたのを覚えている 。 当然 、 何を話していたのかは判らない けれど … 。 その後 、 私は手話の勉強をした 。 初めは手話を使うのが嫌だった 。 手話を使うことは 、  「 私、もう二度と耳が聞こえなくなるの 」 と言っているように感じられたから 。 いつか必ず治ると信じていたから 。 私生活では筆談を用いることの方が多いけれど 、 今では手話を学んで良かったと思っている 。 嫌 、 逆に学ばければどうなって居たことか 。 外出先から電車に乗って帰宅する 。 電車に揺られながら 、 何度も読んで少々傷のついた 本を読み進める 。 中々面白く 、 本の世界にのめり込んでしまう 。 降りる駅も近くなり 、 私は本を鞄にしまった 。 ふと目の前の席に目をやると 、 一人の高校生が イヤホンを使って音楽を聴いているのが目に入った 。 何を聴いているのだろう 。 心の片隅でそう思いながら 、 ドアが開くと同時に 電車を降りる 。 落ちてきた髪の毛を耳にかけて 、  改札迄歩いていく 。 ____ 改札をくぐり地上に出ると 、 5月にしては熱っぽくて湿った空気が包み込んだ 。 ジメジメとして気分が悪い 。 小さくため息をつくと 、 静琉は帰路に着いた 。            〆  君の声だけが聞こえた #1

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君の声だけが聞こえた #1

君の声だけが聞こえた #0

私は耳が聞こえなかった 。 世界がどんなふうに彩られてるのか。 あの子達は何を話しているんだろう 、 “ 普通 ” から切り離された日常 。 それでも、これが私の普通 。 __ のハズだった 。 貴方に出会って 、 世界が聞こえるようになる迄 は 。 貴方の声だけが聞こえた 。 貴方一人に声を通して、私は世界を知った 。 貴方一人の優しさを通して、私は世界を抱きしめた 。 貴方一人の残酷さを通して、私は世界と××した 。 これから始まる物語は 、 私の生きた証 。 証明書として、大切にしようと思う 。       〆 君の声だけが聞こえた #0

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