りらね
2 件の小説サイコとドMと令嬢と死神と陽キャとゲス王子と前代未聞の六角関係。
__バンッ!!!!!!! 暗闇を鋭く切り裂く、黒い銃声。 「ッ、かは……ッ…」 撃たれた心臓を苦しそうに押え、彼はその場に倒れこむ。 「うふふ、これでずっと一緒だね♥」 薄暗い、真夜中の裏路地。 倒れ込んだ彼を抱き起こし、苦しそうに歪んだ顔を覗き込む。 雲の隙間から、月光が彼の整った顔立ちを青白く照らす。 「レイくん♥」 虚ろな目が私をとらえる。 何かを映しているようで、何も映していない眼。 __これまでに何度も見てきた、死の間際の人間の眼。 撃たれた心臓から、どくどくと吹き出す鮮やかな鮮血。 事前に折っておいたあばら骨。 苦しそうに乱れた細い呼吸が、彼の容体の深刻さを物語っている。 ……あと、3分もあれば死ぬかな。 そう考えながら、レイくんをじっと見つめる。 いくら鍛え抜かれたグループの総長でも、死には抗えない。 人はいつか、死ぬのだ。 「ぐ…ッ……」 虚ろな瞳で彼を見下ろしていると、レイくんが辛そうに息を詰まらせた。 …彼の身体は今、想像を絶する激痛に苦しんでいるだろう。 撃ち抜かれた心臓。 巡らなくなった血。 倒れ込んだ衝動で、折れたあばら骨が内臓に突き刺さっているはずだ。 出血量も尋常じゃない。 内出血も含めると3分もしないで、死ぬはず。 即死していないのが奇跡なくらいだ…… ___だけど 仕方ないよね? レイくんは、私以外の女の子と仲良くしてたんだから。 ……エミちゃんだっけ? レイくんが仲良さそうにしてた女の子。 レイくんは私のモノだって知ってるくせに、グイグイくっついて、図々しい子。 ……でも、大丈夫。 昨日の夜、エミちゃんは私が消しておいたからね。 だから、レイくんはよそ見せずに、私のことだけ見ていながら死んでね。 「ね、レイくん♥」 そう呼びかける。 …………なのに。 「………………ぇ、……ミ…………………?」 …………………………は? レイくん今、私のこと「エミ」って呼んだ? ……私のこと、エミちゃんと勘違いしてる? ……………なんで? 全然、ちがうのに。 でも、レイくんが私を見つめる眼は、エミちゃんに向けていた眼差しと全く一緒で。 ………………エミちゃんを殺してまで、私のことを見てほしいのに、レイくんが見てるのは私じゃない。 …………そう気づいた瞬間、心に黒い感情が__、激しい悔しさと嫉妬が渦巻く。 エミちゃんは………、エミなんて人はもう、何処にもいないのに、なんで。 「…………………なんで、私じゃなくて、あの子の名前を呼ぶの。」 無意識に低い声で呟く。 …………………酷いよ、レイくん。 ……………私はこんなにレイくんのことが好きなのに。 レイくんは、エミちゃんのことばっかり見てて。 ……………だから、エミちゃんを消したのに___今度は私をエミちゃんを重ねるだなんて。 「……………………ッ…………」 レイくんの腕に手を伸ばす。
恋ってね
付き合えなくても、それでも好きって想っちゃうんだよ 実らなくても、それでもきゅんってときめいちゃうんだよ 今、すごくすごく辛いけどね 私が辛いのはきっと貴方のせいなの 私を苦しくすることが出来るのは、あなただけなの 貴方が私の心を掴んで離さないから 待って、私を見て あの子を見ないで 私に気づいて 振り向いてよ こんなに好きなのに ねぇ、あなたが好きなのは きっとわたしじゃない こっちを見てよ 嘘でもいいから 笑いかけて くだらない話をして 手を繋いで ぎゅってして 笑い合って 偽りでいいから わたしのことだけ見てよ 少しでいいから夢を見させて そしたら、その夢を記憶に焼き付けて 頭の中で何千回でも何万回でも再生するから だから、わたしに振り向いて、 好きに、なってよ……