mimi
2 件の小説顔
スプーンに自分をかざして見ても 散々使って傷が沢山付いているそれでは ぼんやりしていてはっきりとは見えない 透き通ったラムネに自分をかざして見ても ゆらゆら動いて不安定 鏡に自分をかざして見ても 自分の顔とは反対 全部 本当の顔ではない 本当の自分ではない でも それでいい それでいいんだ 自分の顔が ぼんやりしていても ゆらゆら動いて不安定でも 反対でも きっと まっすぐにきらきらひかるその瞳で 本当の顔を見てくれる人がきっといるから だから 今はとりあえず気楽に生きようぜ!
俺と君 第一話
side和之 「来週の月曜日、えー7月21日から夏期講習があるので、皆さん頑張ってくださーい」 どうせ頑張ったってどうにもならない。 「夏休みを逃すともう挽回はほぼ不可能になるから今までダラダラ過ごしてた人も夏休みはしっかりやれ」 俺が頑張ったって、どうせ無理だ。 俺には、行きたい学校があった。世間一般で言う「御三家」のうちの1つの学校で、小学4年生の頃に行った文化祭で、生徒間の雰囲気に惹かれた。俺は昔から勉強をしてきて、それなりに地頭含め賢い方だと思う。いや、思っていた。塾だって、自分の意思で入った。幼稚園や小学校で特に気の合う子もおらずとてもつまらなかったこともあって、私立の中学校に入れればなにか変わるんじゃないかと思った。勉強には自信があったし、やる気だってあった。自分なら出来る、簡単なことだって、塾に入ったばかりの小学4年生の時、あの時は本気でそう信じていた。 しかし、現実はそう甘くはなかった。 入ってすぐは、成績だって良かった。だけどしばらくして、すぐ授業についていけなくなった。分からない、分からない。宿題が終わる気もしない。 俺、本当にできるの? 5年生になった。宿題が増えた。より内容は難しくなった。 俺には、出来ないかもしれない。 6年生になった。宿題も塾の日数も増えた。自由だけがどんどん無くなっていく。勉強してもどうせ理解できないということ、ただその事実だけは理解して、無駄な努力をする事はやめた。 俺には出来ない。どうせ無理なんだ。 塾に入ろうと思ったのは、勉強以外ただただする事がなかっただけで、唯一のモチベーションだった自分が楽しめる学校に入れるかもしれないという期待感は、勉強ができない自分に失望した今、ほぼなくなっている。そう言い聞かせた。 ーあぁ、誰か、この気持ちをわかってくれる人がいればいいのにー