人間に恋したゴキブリ
俺はある一人の人間に恋をした。外でボーっとしていたら、一目惚れしちまった。その時のことは彼女に目が釘付けでよく覚えていないんだが、気づいたら香水の匂いが充満している彼女の部屋に入っていた。その日からずっとずっと君を見ている。ベッドの下から棚の影、冷蔵庫の隙間などあらゆる角度から君の美貌を眺めていた。君のだらしない部分や君しか知らないこと、僕は全部知ってるんだ。だから君は僕だけのもの。誰にも見せたり、教えちゃだめだからね。「君と僕だけの秘密」思いが溢れて小さくつぶやいてしまった。僕はゴキブリだから君には聞こえないだろうけどね。それなのに、何で君はそんな顔をしているの?
次に続く…