Amano

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Amano

そのへんにいる凡人

僕らは血の繋がった兄弟で。/ 1話

「 和希お兄〜! 」 「 裕人、おはよう。 」 3年前まで俺らは仲のいい兄弟だった。 弟は反抗期というものがなくて俺より可愛がってもらって。 勿論俺も裕人が可愛くて可愛くて仕方なくて毎日デレデレだった。 でも、ある事故を境に俺らは離れた。 ─ 3年前 ─ その日はいつもより晴れてて気持ちの良い日だった。 俺と裕人は2歳差で、高1と高3。 いつも通り朝一緒に同じ高校に向かってる最中。 少しだけ嫌な予感がしたんだ。 そういう能力がある訳では無いし気のせいだろうと思っていた。 だけどその予感が当たった。 いつもは車通りが少ないのにその日はやけに多かった。 突然、キーッ!!という音、クラクション、何かが打つかった大きい音、キュルルと聞きなれない音。 「 あぶなっ___ 」 裕人に声をかけたときにはもう遅かった。 打つかって制御の効かなくなった車が裕人を轢いた。 ドンッと鈍い音が周囲に響き渡る。 車と同時に飛ばされた裕人は意識を失い、頭から血を流していた。 通りかかった人が叫び、救急車を呼ぶ。 何もできず突っ立っていた俺はそこにはいないかのように扱われて。 ‘ 〜で、〜からでして…〜なので意識が戻ったら奇跡と言えるでしょう…’ 気が付いたら病院にいた。 意識を飛ばしていたわけじゃないけど どうやって病院に来たのか覚えてない。 目の前には両親と診察医。 涙ぐみながら聞く母と、眉をしかめる父。 こんなことはよくあるのだろう、あまり顔色を変えずに話す診察医。 なんだか気持ち悪い。 俺は居ても経ってもいられなくなり診察室から出た。 5分後、両親も診察室から出てきた。 が、何故か俺を睨んでいる。 そうだ、この二人は昔から俺を良く思ってない。 今回もきっと___ バチン 鈍い音が響きわたったときにはもう 俺の頬は赤く染まっていた。 「あんたなんかがいるから!!」 何回も聞いたよその言葉。 お前がいなきゃ。 お前が生きてるから。 邪魔なんだよ、消えろって。 「 なんで裕人があんな目に合わなきゃいけないのよ!轢かれたのがあんただったら良かったのにッ! 」 俺だって、裕人の代わりに轢かれてやりたかったよ。 今の苦痛な現実から逃げ出したい、どうせ死ぬなら俺が死んだほうが皆喜ぶじゃないか。 …あぁそうだ、俺は神にも見放されたんだ。 ___神様っていじわるだなあ。 《 続 》

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シュウメイギク

薄れゆく愛、それがまた心地良い。 なぜだろうか。 心が安らぐんだ。

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