雷蘭

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雷蘭

はじめまして。

性別なんて無かったらな、笑

「おーい!」 元気なハリのある声に振り向く 「早く来いよ!おいてくぞー!」 そういう彼の声に呆れつつも、少し小走りで彼の元に走っていく。 「遅いぞ!笑」 彼が僕の肩に手を回し、自分の頬に寄せる。 「ごめんごめん笑」 余裕ぶるのが限界だ、そう、 “僕は彼が好きなのだ” 赤くなった自分の顔を隠すかのようにして彼の手を振りほどく。 「どこ行くんだっけ」 「はあ?お前遅刻したくせに忘れたのか」 彼が怒りながらも笑顔で教えてくれる 「本屋だよ!小説買いに行くんだろ!ったく」 「そうだった、ありがとう笑」 こんなしょうもない会話が、僕は大好きだった 本屋について、キャラとは全然合わない切ない恋愛小説とか手に取って、真剣に選んでる顔が大好きだった。 僕しか知らない、僕だけの顔だと思ってた、 こんな馬鹿やって、一緒に出かけて、、恋人みたいにやってる時間が、ずっと続くと思っていた でもある日、 「“俺、彼女できたわ”」 理解ができなかった、僕の方がずっといっしょにいたのに、僕の方が彼のことを知ってるのに 僕が男だからいけなかったの?僕が、僕が女だったら彼と恋人になれたのに ふざけるなふざけるなふざけるな! なんであの女なんだよ!クソっ!! 「お、おい?大丈夫かよ」 彼が心配した様子で僕に話しかけてくる 「あ、ああ大丈夫大丈夫」 「よかったな、笑」 「、、、、おう」 よかったななんか思うわけが無い、今すぐにでも別れて欲しい、でも彼の不幸を願っているわけじゃない そっか、僕は負けたんだな、笑 さようなら、来世は僕を彼女にしてください またね、笑

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性別なんて無かったらな、笑