夜瀬 せり
3 件の小説否定されて当たり前
「菜摘、おはよ」 「おはよー!」 菜摘と合流した。 「今日は、スイーツと、服とか買おっかな!」 「いいじゃん、私もそうする、」 今日もなんとなく買うものを合わせた。 デパートに入り、二階に上がると、フラペチーノを買った。フラペチーノを飲みながらコスメ売り場に向かおうとすると、菜摘がいきなり声をかけてきた。 「何その傷!」 「え、なんのこ、」 血の気が失せた。 腕の傷を見られたのだ。 私はとっさに隠そうとすると、 「気持ち悪いからやめた方がいいよ?てか痛くないの?」 と言われた。長袖を着ていたからバレないと思ったのに、見られてしまった。 「あ、ごめん。み、見せないようにする」 「ほんと、やめてよねっ!」 「う、うん。」 「じゃあ、いこっ!」 私は鈍く頷くと、服売り場に向かった。 ◇◆◇ 自傷を否定されるのなんて当たり前だ。でも、否定されたのが辛かった。相談できないからしているだけなのに。 私はハサミを取り出す。強く押し付けると段々腫れてきた。 またやっちゃったな。 ◇◆◇ 私の唯一の逃げ場はネット。投稿はあんまりしないけど、DMは毎日送るようにしている。とくに、「miiha」という方とよくメッセージを送り合っているのだ。 ブルブルッ。 スマホの通知が鳴った。miihaさんからだ。DMをタップしてメッセージを見てみた。 『電話してみたいな!selaちゃんのこと、もっと知りたい!』 −え? 私はすごく驚いた。だって、ネッ友と電話するなんて考えたことなかったから。でも、miihaさんのことを私ももっと知りたいし、何より相手から言ってくれるのが嬉しかったから。 『うん。わかった。』 私はそう返信すると、可愛いスタンプが送られてきた。
本当の音を聞きたい
階段を上ってため息をつく。教室に入ろうとすると、いつも吐きそうになる。足がくすみそうになるのをぐっとこらえて、目を瞑りながら教室に入った。 「聖恋っ!おはよ。」 「お、おはよ、!」 未羽が私に飛びかかってきた。ぼんやりして読書をしてたせいか、ろくに声が出せなかった。 「宿題やってきた?」 「むず過ぎてほぼ空欄だよ、」 と私は苦笑する。 「まあ、仕方ないよねぇ。あたしもそうだもん、先生の話が聞いてらんなくって、ほぼ塾で勉強してる感じ。」 未羽も続けて苦笑した。 「あ、そうだ!これあげる。」 未羽がいきなり乗り出した。 「聖恋、金欠でしょ。このラムネ、あげる!」 未羽はチャックを開けて、ラムネを3粒ぐらい私に差し出した。 「これスッキリしておいしいんだよね。食べてみて!」 「い、いいの?」 未羽は首を縦に振った。 私は口にラムネを放り込むと、ふわっとサイダーの香りが広がった。 ◇◆◇ 放課後、部活に向かい、活動場所に向かった。 私の部活はクッキング部。だけど、クッキングをやりたかったわけじゃない。ただ、“合わせていた”だけ。 ふと、菜摘の顔が浮かんだ。 菜摘は、去年高一の時に同じクラスだった。クラスの中心的なポジションにいて、私は菜摘の「グループ」の中にいた。だから私は菜摘に合わせてクッキング部にしたのだ。私の学校は三年生しか部活は変えられないから、部活を変えるというわけにもいかない。 「聖恋、早くしなよー!始まっちゃうよーっ!」 「あ、うん、今いく、」 ◇◆◇ 「もう朝かな、」 そっと呟く。 今日は菜摘と買い物に行く予定。この前お小遣いもらったばかりなのに、お金が飛んでいきそうだ。それに、買うものも限られている。菜摘の前で漫画なんて買ったら、関係を切られてしまうだろう。とりあえずスリッパを履き、階段を降りる。洗面台行って、タオルとスキンケア用品を取り出した。 洗顔が終わると、適当に着替えてからコンビニに出かける。カップ麺とフルーツを買ってから、家に向かった。家に戻ると髪をセットして、ナチュラルメイクをしてから駅へ向かった。
独りだったから愛が歪むの
あたしは『独り』だった 「大丈夫?」 とか 「頑張れ」 なんていらない。 それよりもずっと 『歪んだ』アイが欲しい 普通のアイなんていらない 貴方からの行き過ぎたアイが足りない あたしはLonelinessな存在なの。 ねえ、もっと、好きって言って? もっと好きにさせて? −夜は永遠だから。