夢の中の白雪姫(上)
夢を見た。
懐かしい夢を
図書室で出逢った美しい少女。
13年経った今でもはっきり覚えている。
これから先何年、何十年経っても忘れる事は一生無いだろう…
中学3年、9月最後の日
帰り際、図書室で本を借りに来ていた。
普段本なんて全く読まないが、読書週間ということで、明日から2週間ホームルームで15分読書をしようという事が決まった。正直とても面倒臭い。
絵本や漫画はNGらしく小説ならOKだそうだ。意味が分からない
棚から適当に取った本をパラパラとめくる、文字だらけで挿絵も無い、見てるだけで頭が痛くなる。
本を元の場所に戻し、近くにあった椅子を引き座る。
机に頬杖をつきながら周りを見渡す。
図書室は放課後しか開いていない。
明日から読書週間が始まるというのに俺以外に生徒は誰一人いない。シーンと図書室内は静まりきっている。
小説は何を選べばいいのか分かんないし適当に借りて帰ろうかと立ち上がる。
その時ガララッと扉の開く音がした、
誰か来たのだろう。
横目でちらりと扉の方を見る。
思わず目を奪われた
色白で肩まである白くて綺麗な髪、二重で切れ長の目、白いまつ毛、少し赤みがかった瞳。
本当に俺と同じ人間なのかと疑うほど美しい容姿をしていた。
同い年ぐらいに見えるが入学してから一度も彼女を見かけたことがない。転校生だとしてもこんな時期に転校なんてあるのだろうか、もしかしたら年下かもしれない。本を選んでいる彼女をまじまじと見つめながら考える。
見つめ過ぎたせいか視線に気がついた彼女と目が合った。
我に返り、やべっと慌てて視線を逸らす。失礼だったよな…と心の中で反省する。
彼女は何事も無かったかのように本棚から本を手に取り、図書カードに借りた日付と名前を書き図書室から出て行った。
俺も“適当に”に選んだ本を借りて図書室を後にした。
翌日
「早紀~この後さカラオケ行かね?亮太と光も来るんだけど」
前の席に座っている蓮からカラオケに誘われたが生憎、塾だ。
「わり、俺今日塾だから」
「マジかぁー了解、また誘うわ」
「おう」
終学活を終え
チャイムが鳴ると同時に教室から生徒が飛び出して行く。
最近は少し肌寒い
上着を着て来る生徒も増えた。
校門へ向かうため1階に降りる
ふと図書室で会ったあの娘のことを思い出した。
白い髪の毛が印象的だったあの女の子。
塾に行く時間は17時、今の時間は16時19分。
気づけば図書室の前まで来ていた。
絶対いるっていう“確証”は無いのに…
まず居たところで話しかける勇気もないし
名前も知らないに一度も話したこともないのに彼女のことが気になって仕方が無い。
ストーカーみたいなことをしている自分が気持ち悪い
扉に手を掛けゆっくりと開ける。
その瞬間中から出てきた人とぶつかった