夜桜

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夜桜

初めまして。夜桜と申します。 よろしくお願いします。

白い紫陽花【2】

 何分か歩いて目的地に到着した。 その場合は……墓場だ。 ここには君が眠っている。 先程買った、白い紫陽花の花束を花立(はなだて)に差し込む。 「久しぶり。君が好きな花を買って来たよ。色は白にしたよ。 気に入ってくれると嬉しいな……」 「…」 お墓の前に座り込み、君に問いかけてみるが返事はない。 当たり前の事なのに泣きそうになる。 ー五年前 君は夕飯の材料を買いに行くと言って家を出た。 俺は前日仕事で残業があり疲れていた。 そのせいで、買い物に行く君を見送りもしないで寝ていた。 いつもなら一時間で帰ってくる君が 数時間経っても帰って来なかった。 俺は不安になり、身体を起こして 何度も君に電話をかけた。 ープルプルプルー だか、君が電話に出る事はなかった。 ……何かあったのだろうか。 そう考えいると、携帯に電話がかかってきた。 急いで手に取り見てみると 『病院』からだった。 嫌な予感がして、恐る恐る電話に出た。 その内容は………君が亡くなったと言う知らせだった。 頭の中が真っ白になった。 何かそれ以外にも話しをされたが、 何を言われたのか覚えていない。 ー病院に行かなくては そう思い急いで向かった。 病院に到着後 ある病室に案内された。 そこには冷たくなった君がいた。 俺は、ただ泣く事しか出来なかった。 死因は、事故による出血死だった。 聞いた話しによると居眠り運転をしていた大型トラックが、 赤信号に気づかずに突っ込んできたらしい。 もし、俺が君と一緒に居たなら何か変わっていただろうか。 何度もそう考えたが、もう遅い。 君は帰って来ない。 そう思い馳(は)せながら、お墓に目を向ける。 「今、君の所に行ったら君は怒るだろうな。 だから、俺は残りの人生しっかり生きるよ。見守っていてくれ。」 そう君に伝えて立ち上がった。 「愛しています」 そう呟き、その場から立ち去った。 白い紫陽花の花言葉は『一途な愛情』 ーー おわり ーー ✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎ ※これは、フィクションです。 最後までご拝読頂きありがとうございました! 今回書かせて頂いた『白い紫陽花』は いかがでしたか? コメント欄で感想等を書いて頂けると 今後の励みになります!🍀 《ここだけのお話し》 紫陽花って葉っぱに毒があるらしいです! なので、お墓に添えるお花として 良くないって意見があるんですよねー 反対に、大丈夫って言う意見もあります。 どっちが正解なんですかねー?笑 以上です!ー夜桜ー

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白い紫陽花【2】

白い紫陽花【1】

 今年もあの時期がやってきた。 そう梅雨だ。 君が俺の目の前から姿を消した日も 今年と同じ不快感を抱く程、 湿気が多く強い雨が降っていた日だった。 そう考えていると、 ーポツー 雨が降って来た。 「あ…、雨」 そう呟き空を見上げた。 次第に雨が強くなって行き、 傘を差していない俺はすぐにずぶ濡れになった。 ずぶ濡れになっても、俺は空を見上げたままその場から数時間 動く事はなかった。 君がいなくなった時の状況と似ているからだろうか。 君と一緒に過ごした記憶を思い馳(は)せていた時、 近くから小さな子供の声が聞こえた。 「お母さんみてみて!綺麗なお花ー!」 「あら!本当ね!綺麗な紫陽花ね!」 その他愛もない会話を聞いて我に返った。 ………紫陽花。 君は、紫陽花が好きだった。 ふっとそう思い、雨で濡れた重い体を動かし花屋へ向かった。 花屋に到着後 ーカランコロンー 店のドアを開けた。 「いらっしゃいませー……お客様ずぶ濡れですよ!大丈夫ですか!?」 「お気になさらず。白い紫陽花の花束を二つお願いできますか?」 「かしこまりました。お相手の方は、恋人の方ですか?」 「はい」 「きっと喜んで頂けますよー」 「………そうだといいですね。」 他愛もない会話が終わりしばらく経った後、 花束を受け取り店を出た。 外に出てみると、雨が止んでいる。 「傘を買う必要はないな。」 そう呟き、あの場所へと向かった。 ーー つづく ーー

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白い紫陽花【1】