雨と小さな折りたたみ傘
雨が降り出したのは、放課後の図書室を出た瞬間だった。
傘を持っていない。校門の屋根の下で立ち尽くす私の隣に、スニーカーの足音が近づいて停まった。
「……傘、忘れたの?」
声をかけてきたのは、クラスで一番モテる蓮だった。サッカー部の練習が雨で休みになったのか、大きなスポーツバッグを肩にかけている。普段は遠くから眺めるだけの存在。まともに話すのも、今日が初めてだった。
「うん……予報見忘れてて」
「じゃあ、入る?」
蓮がバサッと開いたのは、黒い折りたたみ傘。高校生の男の子と二人で入るには、どう見ても小さすぎる。
「え、でも狭くない? 蓮くんが濡れちゃうよ」
「いいから。風邪ひくぞ」
強引に腕を引かれ、傘の中に押し込まれる。
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カテゴリー: 恋愛・青春
投稿日時: 2026/11/7 8:29
透