黄昏色の放課後と、甘い図書室
放課後の図書室は、まるで世界から切り離された浅い海の中にいるみたいだった。
西日が古い木製の机をオレンジ色に染め上げ、浮遊する小さなホコリまでもが光を帯びてキラキラと輝いている。風が吹き抜けるたび、レースのカーテンが優しく揺れ、古い紙の匂いと、彼女—紫苑の髪から香る甘い木犀の香りが混ざり合って、僕の鼻腔をくすぐった。
「ねえ、大輔くん。本当に集中してる?」
目の前に座る紫苑が、頬杖をつきながら覗き込んでくる。
薄いブラウスの衿元から覗く白皙の首筋。そこに西日が射し込み、彼女の透き通るような肌の質感をいやでも際立たせていた。汗ばんだうなじに、細い髪の毛が何本か張り付いている。
「し、集中してるよ。テスト前だし」
「ふーん。嘘つき。さっきから一ページもめくってないじゃない」
紫苑はくすりと笑うと、机の下で、そっと僕の足に自分の爪先を滑らせてきた。
ソックス越しに伝わる、かすかな体温。不意の接触に、心臓が跳ね上がる。
「ちょっと、紫苑……!」
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カテゴリー: 恋愛・青春
投稿日時: 2026/10/26 1:12
透