今さっき死んだ。
私は今さっき死んだ。季節は夏。私の家の近くには小屋がある。小屋は蒸し暑い空気を消し去るぐらいに涼しくて暗い。私の親は不仲で、激しい喧嘩になったら外に出ろと私が幼い頃から親に言われていた。まるで小屋の空気と家の空気は同じだ。外に出たって、冬は寒いし夏は暑い。冬は小屋の中で唯一日差しの当たる窓辺にいた。私の住んでいる地方は冬がとても寒い訳では無い。雪も全然降らない。だから窓辺に居るだけで耐えられた。でも夏はとても暑い。私にとって小屋は唯一自分の居場所だった。学校や家でのストレスから逃げれる気がするのだ。防音だから鼻歌を歌ってみたりしていた。小一時間位小屋に居る。その後家に帰るとヒステリックによくなる母は喧嘩でヒステリックを起こし、私が帰る頃には泣いて「ごめんね、ごめんね」と謝ってくる。貴方が大切よ。とか言ってくるが正直心に響かない。だって怪しい小屋に行っているのに心配の声1つもくれないのだから。少し前テレビで見た。小さい頃から愛情を感じられないと大きくなってから友達や恋人に歪んだ愛情を抱いてしまったり、愛情表現が上手く出来なかったりするらしい。そんな事は無い。絶対に無い。愛されなくて辛かったんだから辛かったことを友達や恋人にするなんて無いだろう。中学生の初めはそう思っていた。今になって辛い。友達が離れて行ってしまう恐怖から友達が私に抱く友情を試すような言動をしてしまう。だから今は友達なんて1人もいない。そのストレスでヒステリックを起こしてしまう。私の嫌いな母にどんどん近づいて行く自分が嫌だった。顔だって似ていく。嫌だ。嫌だ。私の心は嫌悪感に包まれている。嫌な気持ちがヒステリックに繋がる。無限ループから抜け出せない。でも人に見せたら駄目だ。それだけは自分の心に誓って生きていた。先日親戚が来た。何度も「お母さんに似てきたね」と言われた。その言葉1つ1つに鋭い棘があって、その言葉を投げかけられる度に身体がぎゅっと締め付けられたように感じた。翌日も、その翌日も締め付けられた身体は治らなかった。更には「お母さんにそっくり」という幻聴が聞こえてきたり、誰かに見られてる気がして辛かった。誰かに聞かれてると思うと言葉を発せなくなった。でも私は戦う。母みたいになんてならない。包丁を持って倒そうとした。父と母に白い目で見られた。母は私が大切だったんじゃないの?本当はどう思っていたの?聞こえる声が現実か空想かも分からない。「死んじゃっても誰も悲しまないのにね。」あれ、私生きてたっけ?家に帰ってスマホを見るとズタズタ死体が小屋で発見されたらしい。
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カテゴリー: ミステリー
投稿日時: 2024/1/8 13:39
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連載はほぼしません。短いです。