望みゆくままに

 さあ!望みゆくまで、歩くがいい!  と私は1人で思いつつも、静かに裏口に回る。そこでは、入学者たちが世間話をしている。隣の家の水芭蕉が大きくなったとか、ローズマリーの花がよく香るとか。  その中に赤い髪をした男性がいる。鼻を平べったく、少しそばかすが頬にのっている。 「今日のクリオネは、やはり大きいね」嬉しくも寂しい話だ。この国の大学で1番手か?!それとも、23番手か??と言われるほど評価の分かれる理由。表門には金の獅子舞が踊っている。 芸人のT.Kさんのような踊りで「明日は来るかあ?明日は来ないかあ?」と泣き笑いのようなしゃがれた声で辺りを奇妙な空間に作り上げている。 よし。ここは、一度でいいから、握手したい。私はかけてゆく。その瞬間に光り輝く龍が地面から天へと上がっていく。気がつくと、どんどんと大学が遠くなっていく。 「待って!待って!まだ卒業してない」私のか細い声も虚しく、大学はチリのように細長くなっていく。  目が覚めると、神がご飯を作っていた。 「お味噌汁暖かいのできてるよ」
ニルヴァーナ