最後の一駅
「ねえ、あと一駅だけ一緒に乗っていい?」
彼女はいつも降りる駅を通り過ぎて、窓の外を眺めた。僕らは付き合っていない。ただ同じクラスで、帰り道が途中まで同じ。それだけの関係だった。
「明日、転校するんだ」
突然の言葉に、返事ができなかった。「本当はさ、ずっと好きだったんだよね」彼女は笑った。泣きそうな顔で笑うから、僕はずるいと思った。
電車が次の駅に着く。彼女が立ち上がる前に、僕は初めてその手を握った。
「じゃあ、明日からは俺が会いに行く」
彼女は驚いて、それから小さくうなずいた。
電車のドアが閉まる。いつもなら別々になるはずの帰り道が、その日だけはどこまでも続いてほしかった。
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カテゴリー: 恋愛・青春
投稿日時: 2026/10/27 2:11
透