かくれんぼ

かくれんぼ
 水のぽたぽた滴る音がする。水っぽい、苔のようなにおいもする。私は必死に何をしていたかを思い出す。そうだ、私はかくれんぼをしていたのだ。しかしいつの間にか、どこかに隠れてしまい、自分ではどこにいるのかももはやわからないのだ。しかも鬼役の友だちはまったく私を見つけてくれる気配がない。私はどこに隠れているのだろう。  辺りはもう時間がだいぶ経っているので暗く自分の体すら見えない。手がかりといえば音とにおいだが、それだけではどんな場所にいるのかはわかってもどこにいるのかまではわからない。これはある種の監禁なのだ。そして、なぜ鬼役が私を見つけてくれないのか、それもわからないのだ。私は一人ここにいて、おそらくはできるだけ見つからないようにと思って来てしまったのだろう。私は手探りで用を足す。  私は次第に疲れてきて、大きな声で「ここにいるぞ! 何で見つけてくれないんだ!」と叫ぶ。しかし人気は完全にない。私は絶望を感じて見えないながらもうろうろする。湿った足音が辺りに響く。そして私はこうして死んでいくのだと思う。こんなに真っ暗では下手に動けば死んでしまうだろう。もしかすると朝まで待てばどうにかなるかもしれない。  私はどこにいるのだろう。そしてどうなるのだろう。そうした不安がいっそう疲労に寄与する。意識が遠くなる。そして何も感じなくなっていく…。
まあ🧅
まあ🧅
カモにならないように、人に近づけるように。最近自分のことがわかってきたおじさん