青天に蔽う

青天に蔽う
「俺、女になろうと思ってんだよね。手術とかしてさ。」 同級生、青英故(あおえ ゆえ)の衝撃の告白を聞いてからニ週間。俺は変わらず、友人として、順当な距離で隣を歩いていた。 青い夏、嘘だったんかいと言いたくなるような寒空。朝七時はなんとなく薄暗く、夜の匂いが地面に立ち込めている。 俺は立花社(りっか やしろ)。高校二年、園児と見間違えるくらい元気に廊下を走っていた男子達も、マイノリティやポエミーな自我に悩まされる時期だ。来年は進路とかあるから余計に。それは俺だって例外ではない。 少し前を歩いているのは、故。青英故。 高校の入学説明会で席がたまたま隣だったのち、クラスも同じだった。それからの縁で、今もこうやって友人をしている。
らいけ花束
らいけ花束
仕様がよく分かってない。片思い系が好き。