アヤカ編
3階第6講の窓側の列後ろから3番目。私の最近のお気に入りポイント。誰も知らないささやかな私たちの出会いの場。机の隅っこのきらりと光るそこで私たちは言葉を交わす。
きっかけは、ほんの些細なこと。今まで使っていた教室の空調が故障したとかであてがわれた教室は、3階の隅っこの第6講教室。いつも通り席に着くと、視界の端で何かがきらりと輝いた。
よく見ると落書きだ。見覚えのある女性が描かれている。これは…、思い出そうとする前に横に添えられた文章が目に入る。
【ななみん最近きれーになった!】
あ、思い出した。彼女は古典の先生か。ななみ先生は確かに最近変わった。
今までのかたく縛ったトレードマークのひとつ結びをほどき、ハーフアップのような柔らかな印象のヘアスタイルに。メイクも今までよりずっと華やかな色遣いになった。
だから気が付かなかったのか。先生の授業は入学したての頃、一度受けたのみだった。
腑に落ちた清々しさと同時にもう一度絵を見つめると、確かにそうだ。写実的なイラストは先生の写真と見紛う程だった。こんなに素晴らしい絵を見た高揚感からか、私はその時いつもはしない事をしていた。
0
閲覧数: 23
文字数: 1754
カテゴリー: 恋愛・青春
投稿日時: 2025/1/26 11:12
最終編集日時: 2025/1/26 11:24
森🌳
不思議な世界を描きたい