終わり方

無言のムードは俺をおう。追われてなくても追いかけてくる。 くたくたにだらしない野菜スープを口に運んだ。何もかも搾り取られた液体さえ、透明な水でさえ、琥珀色に輝かせるばかりだ。後ろも前も見ずにくう。 今は5日を知らずに、俺はどんな奴かも知らずに、ただニタニタ眺める。白いバックに黒い文字で酔っては笑い、ひとときの堕落を忘れて息をする。 なぜか揺れる萎れかかったキンギョソウの小鉢。埃混じりの肥えた土に、いつぶりかの水をやる。俺も植え付けられた存在で、根が動く気配はない。 ぐちゃぐちゃにつぶれたトマトだって人は食う。食わず嫌いのあの日のガキを思い出す。身も皮も肉もはっきりした赤い物体を、箸で遠ざけたあの日の俺。いつしか何も考えずに飲み下す。もう容器は体。 這いずり回る蛆。元に戻す方が困難な、俺の惨状と現状。気にせず腰掛けては、低いいびきを響かせる。腰の辺りの曲がった雑誌も、目の痛い追い立てられるような文言も、いつの日かそこにはなかった。落ちては移動して、見えない隙間へと運ばれたのだ。もう2度と再開することはないだろう。 傷をつけても輝かないのが人間だ。赤錆びたような筋も、黒ずんだ昔のカスリア友、なんの役にも立たないまま、着々と薄れていく。痛みを忘れ、骨張った身体はガチガチに凝り固まり動作は億劫で、瞬く間に崩れ去る。生きる意味さえ探すのをやめて、死んだように時は止まる。窓の外は、暗いばかりでなくゆっくりと灰色になり白っぽくなり、また灰色になって暗くなると言うのに、時計のはりは4時の36分前で凍りついている。それは寒いはずだと俺は苦笑いをしても、エネルギーを補充することなく月日は流れる。 苦しいかと問われればそうかもしれない。寂しいかと問われれば首を振るしかない。ガタガタと古びた音を立てて、机の上のガラクタをまた端へ寄せる。ネズミのキャラクターの表紙の教材も、何も意味を持たずに何年も押しつぶされている。かどに積まれた数々のゴミは、キャベツの玉いくつ分ぐらいだろう。乾いた唇は上下が張り付いていることも珍しくない。ここのところ水しか口にしていない気すら漂う。 頬を爪で引っ掻くと白い粉が舞う。絡まりながら伸び切った黒いものが指に絡まって千切れる。。もう何かを失って完全に途絶したらしい。花も枯れ根も腐る。 最後に見たのは、赤いピスケットのパッケージから無邪気に笑う子供の目立った。
夜葉 彩菜
夜葉 彩菜
盲ろう者の夜葉彩菜といいます。 読書と夜ふかしと文章を書くことが好きです。 ちょこちょこ載せていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。 アメブロにも同じの載せてます。 文字の変換間違いはご容赦ください。