責任

嬉しそうに、でも無言で、一心不乱に食べる姿をとても愛おしいと思った。この人にずっと美味しいものを食べさせてあげたい。そのためにはわたしがこれから頑張らなきゃ。 朝8時に出勤したレストランの厨房でランチの仕込み。11時くらいからの怒涛のようなランチタイムをこなし、16時になったら退勤。賄いをいただいて、夜の仕事へ移動。その前に大量の買い物。20時に夜のお店の看板が灯ったらお客様と楽しく(表向きは)過ごし、ラストは午前3時まで。送ってもらって帰宅は午前4時。 『ただいまー』 帰ってきたらまずはご飯を作る。わたしのかわいい人のために。わたしがいない間に明日も餓えることがないように。 彼はおかえりも言わず、あの日と変わらず一心不乱にご飯を食べている。ずっと同じ場所で同じ姿勢で、あの日と何も変わらずに。
SHINON